負債2億円から家業弁当屋を再建 上間さんにロッキー賞、経営手腕評価

 

壁を越えるため「視座を高める」

授賞式の前には琉球大学の西田睦学長(左から4人目)と面談した上間さん(中央)

 記念講演では、家業を継いだ経緯や経営における信念、自らの人生観を語った。

 大学を卒業後、一度は県外企業に就職したが、家族から債務超過の危機を聞かされて「家族のためにやろう」と一念発起。午前3時に起き、天ぷらを揚げ、弁当を詰め、諸々の作業を終えるのが午後3時ごろ。それから経理の仕事をこなした。十分な経営ノウハウもないため、夕方に本屋へ行き、資金繰りや税務の本を買って読み漁っていたという。

 「チャレンジから得た結果を基に試行錯誤し、またチャレンジする。初めの数年はそれを必死に続けていました」と振り返る。「人は、今いる立場から物事を解決した時の姿は見えない」と語る上間さん。その上で、壁を乗り越えて行くために大事にしている2つのポイントを挙げた。

 1つ目は「自らを信じること」。不安や恐れに囚われることもあるが、「自分の可能性を信じ、まず取り組む。人の力は決して物質的なものだけでなく、精神や思い、情熱から生まれてきていると思います」と語った。

 もう1つは「解決するために自分だけで取り組むのでなく、自分より優れた人々から学ぶこと」を挙げた。その上で「人は今持っている知識や自分の観ている世界が全てだと思いがちですが、実はそんなことはなく、僕ら1人1人が見ている世界はすごく小さな世界です。視座をどれだけ高めていけるか。それこそが、僕たちに課された大きなテーマだと感じます」と話した。

 最後は「自分以外のことに好奇心を持ち、情熱を持って関わっていく。そして世界が広がっていく。私たち1人1人の中に、そういった可能性や未来が眠っていて、そこに大きな世界が広がっていると感じています。それを多くの人に伝えながら、1人1人が気付き、変えていけるような社会をつくっていけたらと思っています」と今後を展望し、講演を締め括った。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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