遺族・関係者が平和を祈る  旧海軍司令部壕慰霊祭

 
4年ぶりの開催で、遺族・関係者らが集い、式典冒頭に黙祷した=13日、豊見城市・海軍壕公園

 沖縄戦末期、「沖縄県民斯(か)ク戦ヘリ」の電報文で、沖縄県民の戦禍における惨状を大本営・海軍次官宛てに打電し、自決した旧海軍沖縄方面の大田實司令官と壊滅した同部隊の命日にあたる13日、豊見城市の海軍戦没者慰霊の塔前広場で、「2023年度旧海軍司令部壕慰霊祭」が執り行われた。4年ぶりの通常開催に、遺族、関係者らが集い戦没者を慰め平和の祈りをささげた。

 毎年行われる同慰霊祭は新型コロナ感染症の影響で、この3年間は規模を大幅に縮小して行われていた。今回は、大田司令官の遺族や関係者を招いての開催となった。

 同慰霊祭に出席した大田司令官の末子(4男)にあたる豊さん(78)は、妻昌子さん(76)とともに出席し、献花し焼香した。

献花し、み霊を慰める大田司令官の4男の豊さん=13日、豊見城市・海軍壕公園

 豊さんは「世界各地で戦争や紛争が起こっているが、こういう悲惨なことが起こらないことを切に願っている。(沖縄戦で)大変なご苦労をされたと思う。安らかにお眠りくださいと祈った」と話していた。

 また、大田司令官の長男英雄さんの長子にあたる聡さん(62)は「広島市に住んでいるので、G7サミットが開かれたばかりだが、改めて世界平和を考えていくことが求められると思う」と述べて、「あらゆる方法を使って、沖縄が二度と戦地にならないようにしてもらいたいと強く思う」と語った。

平和の祈りをささげる大田司令官の長子英雄さんの長男にあたる聡さん=13日、豊見城市・海軍壕公園

 慰霊祭の主催者である沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は「世界に目を向けると、戦争が行われている地域もあり、何の罪もない老人や女性、子ども達の一般市民が巻き込まれている。戦争のない、平和な暮らしを求める気持ちは世界共通の願いだ」と述べて、沖縄戦の実相を伝えることの重要性を強く訴えた。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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