不戦の誓い、亡き友に 戦後78年ひめゆりの塔慰霊祭

 
祭主祭文を読み上げ、哀悼の意を表した、ひめゆり同窓会の知念淑子会長=23日、沖縄県糸満市ひめゆりの塔

 沖縄県糸満市の「ひめゆりの塔」では23日午前、「戦後78年慰霊祭」(主催・ひめゆり同窓会・知念淑子会長)が厳かに執り行われた。ひめゆり学徒隊の生存者が高齢化し、慰霊祭の参加者が年々減少する中で、元学徒隊の仲里正子さん(96)と、同平和祈念資料館前館長の島袋淑子さん(95)の2人が出席。ともに焼香し、亡き友らに二度と戦争が起こらないよう「不戦の誓い」をあらたにした。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、元学徒、沖縄師範学校女子部、県立第一高等女学校の同窓生、遺族ら関係者を招いての通常開催は4年ぶり。約170人が慰霊祭に参列した。

 追悼のことばに当たる祭主祭文を読み上げた同窓会の知念会長は、「ウクライナでの戦争が続いている。戦闘で、たくさんの命が失われていることに強く心を痛めている。沖縄戦でも多くの尊い命が失われた。一日でも早く戦闘を停止してほしいと願っている」と述べて、亡くなった仲間の無念の思いと遺族に対する哀悼の意を表した。

亡き友を思いながら祈りをささげる前館長の島袋淑子さん=23日、沖縄県糸満市ひめゆりの塔

 遺族を代表して、今年満101歳の宮城秀夫さん=本部町出身=が焼香し祈りをささげた。本紙の取材に宮城さんは、2歳違いの妹フミさんを亡くしたと話した。妻の信子さんも同学徒隊の生存者で、「ひめゆり平和祈念資料館の証言員を務めていた。妹や妻が体験した悲惨な戦争を二度と起こしてはならない」と力を込めた。 

 式典終了後、記者団の取材に応じた島袋前館長は「亡き友、亡き先生方のことを思うと言葉にならない。忘れることのできない戦争に体を張ってでも反対していく。私は生きている限り、戦争は絶対にだめだと訴え続ける」と涙をこぼしながら話した。

 また、現館長の普天間朝佳氏は「今の時代に少しでも戦争が理解できる資料館をぜひ訪れ、その実相を学んでほしい」と語った。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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