首里城火災から2年 まちづくりの視点から見た復興の課題とは

 
復元のための作業が進む首里城(2021年9月撮影)

 2019年の首里城が火災で消失して2年が経過した。沖縄県民のみならず、全国的にも衝撃を与えた出来事を受け、国や県、そして県民も含めて正殿復元を中心に、防火体制の見直しや美術工芸品など所蔵品の復元製作など多方面での議論が進行中だ。沖縄県の復興基本計画では2026年に正殿の復元工事終了を予定している。

 こうした復元・復興を巡る議論に加えるべき大事な論点がある。首里城周辺の地域住民目線での「まちづくり」の話だ。“沖縄観光の象徴”とも言える首里城だが、同時にそこには地元住民の暮らしもある。地域の生活者の視点から見る首里城復興についての課題点について、NPO法人「首里まちづくり研究会(すいまち研)」のメンバーに話を聞いた。

再建・復元一辺倒の議論に危機感

火災直後から湧き起こった議論のほとんどが、専門家による正殿再建の話だったことには危機感を覚えました。というのも、首里のまちづくりという視点からすると、首里城の駐車場や渋滞についてはけっこう大きなトピックだったからです。ここに触れないまま元通りに復元すれば、問題も元のまま変わらず残ってしまうことになるんです」

 すいまち研で副理事長を務めるいのうえちずさんはこう語る。
 年間250万人が訪れる首里城は、大型バスとレンタカーで訪れる観光客が首里城“だけ”を見て帰る「直行直帰型」の観光地だ。付近を歩き回ったりする回遊ルートも充分には整備・展開されているとは言い難く、滞在時間も短い。アクセスルートとなる龍潭通りは道幅が広いわけでもなく、さらに周辺には細かな路地や行き止まりなどもあるため、慢性的な渋滞と小路や住宅地・市有地へのレンタカー進入などの交通問題は首里のまちづくりにおいては大きな課題だった。

 こうした現状を踏まえ、すいまち研では首里城周辺のまちづくり団体と「首里杜会議」を発足し、地域住民を中心としたシンポジウムやワークショップを相当数重ねた上で、「首里城復興基本計画および那覇市のまちづくりへの提言」として取りまとめて県と那覇市に提出した。

 提言書の中で「渋滞のない、住民にも観光客にもやさしく、歩きやすいまち」という項目では、前提として観光バス駐車場代替地の確保を筆頭に挙げ、①続いて歩行者優先の「歩いて楽しいまちづくり」を目指すことや、②地域住民の高齢化に対応した交通福祉ニーズに応える新たな交通手段の活用、そして③地域住民の生活を念頭に置いた入域観光客数のキャパシティ調査の必要性について説明している。

 いのうえさんは「課題は多々ありますが、まちづくりとしては先ず駐車場・渋滞問題の解決に向けて、技術的な面と行政的な事情の面とをすり合わせつつ地道に取り組みを積み重ねていく必要がありますね」と強調する。

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