移住体験「ふるさとワーホリ」事業 目指す人口増と問われる地域力

 

 沖縄県は、都市部の若者などが一定期間、県内離島や過疎地域に滞在する「沖縄ふるさとワーキングホリデー」を2018年度から展開している。総務省の事業の一環で、住居や職場を事前に用意し、移住の“お試し体験”をすることでイメージとのギャップやミスマッチを事前に埋め、実際の移住促進や関係人口の増加につなげる。

「家族みたいに接してくれた」

 コロナ禍の昨年上半期には制度利用者が激減したものの、昨年11月以降は一時期V字回復を見せていた。受け入れる側の自治体にも、移住者の呼び込みだけでなく、雇用の確保など受け入れた後の定住に向けて工夫が求められる。

 ふるさとワーホリを利用して3月13~31日に国頭村に滞在した木全(きまた)葵さん(27)は、東京で会社員をしたのちに地元・山梨に戻ってリモートでフリーランスの秘書や事務職をしていた。

 コロナ禍でずっと家に閉じこもっていた日々に限界を感じていた時に、たまたまSNS広告でふるさとワーホリ制度を知り、活用してみたところ、すっかり地域に馴染み、滞在期間が終わっても、引き続き国頭村に住むことにした。

 「地域のみなさんがいろんなところに連れて行ってくれて、交流の輪がすぐに広がったおかげで、不安を感じませんでした。家族みたいに接してくれたので居心地がよく、残ることにしました。長期的には、県外と国頭との2拠点生活も視野に入れています」

緊急事態宣言で新規受け入れ停止

 このふるさとワーホリの事業を共同企業体として受託する株式会社カルティベイト(那覇市)の宮城祥さんによると、一時期は、1か月に約20人が木全さんのように本事業を利用して沖縄暮らし体験をしていたが、県内でも新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた昨年4月ごろから、雇用先の事業者が受け入れを辞退するなどの要因もあり、参加者は減っていったという。

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