県内の30~40代は沖縄県知事選をどう見た? 振り返り匿名座談会

 

危機感の無い「オール沖縄」

 ―今回当選した玉城デニーさんを支援する「オール沖縄」についてはどう感じていますか?最近は「退潮」とか「衰退」ということも言われてますが。

A:オール沖縄に言いたいことは、選挙の候補者選定のプロセスを明確にしてほしいということと、そして若手を育ててほしいということ。この2点に尽きます。もう少し選定基準を明らかにしたり、多様性を考慮して、候補者の公募も含めて考えてほしい。候補者の選択肢を増やして、どんな基準で「今回はこの人を出します」と言ってるのかをはっきり説明すべきだと思います。今現在コントロールしているのは、実はデニーさんというわけでもないんですよ。建白書はありますが、長期的に選挙をどうするかなどの戦略は無いように思います。

D:だからこそ組織の体制を一から見直す必要があると。

A:建白書の3点(オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖撤去、県内移設断念)に関しては、私も守ってほしいし、貫いてほしいと思ってるんですが、実質的に県政与党共闘体制みたいになっている中で、当初とはやっぱり違うし、かつ場当たり的な対応になっている印象です。
 あと、「オール沖縄の求心力が回復した」といった言い回しで「オール沖縄が~」という主語で語るマスコミの語り口も、きちんとした主体があるかのように印象付けてしまうという意味でまずいんじゃないかと感じています。

C:誰が代表なのかを先ずはっきり決めた方がいいというのは同意します。いっそのこと1度解散して、きちんと党首選のようなことをしてほしい。建白書の理念がよく分からない形で使われてると感じることもありますし、今回の選挙で、選挙戦に取り組んでいる側は外野から見えている危機感を感じないんだなと思いました。先にも言及がありましたが、若い人がいなくて先細りになっているにも関わらず、当事者たちはそのことについて対策を講じている様子は見られません。

現場に目を向けて県政のアップデートを

 ―2期目の玉城県政への課題や要望はありますか。

C今後政策を練る上で、それぞれの分野の現場の人間に今起こっていることをちゃんと聞き取って、素案をその人たちに駄目出しさせて、さらにそうしたプロセスもちゃんと公開して県政をアップデートした方がいいと思います。
 例えば今問題になっている教員不足。教員になる人がかなり減っていることについて、ちゃんと現場の人たちに何がどのように問題なのかを具体的に言ってもらえれば、そこからきちんと議論できるはずなんです。この問題に関しては、デニーさんの話を聞いてたら、はぐらかしてた部分もありました。だから現場相手にはぐらかせない状態にした上で、本当にちゃんと一緒に考えればいい。そうすれば活路を見出すことが出来るはずなんです。

B:今の話とも関連するんですが、専門性がある人や現場の人たちが行政ときちんと関われるような仕組みを作るべきだと思いますね。例えば専門的な知識が必要な事業では、非常勤で専門家を雇うなどの対応をすればいいと思うんですが、県庁ではそういうことをあんまりしないんです。内部の職員でチェックできるスキルが無い場合もあるので、適切な対処ができないケースも出てきてしまいます。

D:これは自分の反省も込めてなのですが、今までは副市長や副知事にあまり注目してきませんでした。でも今回は那覇市長選で副市長が出てきましたし、沖縄県の問題が知事1人で抱えられる大きさではないということを考えた時に、知事を中心として動くチームの人たちにも目を向けて評価していく必要があると感じました。こうした見方や応援の仕方を考えていくことが、次の候補者を育てていくことにもなり得ると思います。知事をサポートする人たちが、次の知事になるかもしれない。そんなことも考えつつ、これからの4年間も注目していこうかと思っています。

■関連リンク
【沖縄県知事選】ポイントは「旧統一協会」「既視感」「辺野古」 玉城氏圧勝と過去2番目に低い投票率のワケ ‖ HUB沖縄
【文字で詳報】音声特番で県知事選振り返る 各界若手ゲスト6人 ‖ HUB沖縄
2期目の政策など語る 再選の玉城デニー氏、一夜明けインタビュー ‖ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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