一括交付金を継続 酒税軽減は段階的に廃止へ 沖縄振興、政府方針まとまる

 
内閣府

 内閣府は24日、2022年度以降の沖縄振興策に関する「基本方向」を公表した。沖縄県や市町村が使い道を決められる一括交付金を22年度以降も継続し、ビールや泡盛に適用されてきた酒税軽減措置は5~10年以内に段階的に廃止することなどを明記した。この方針に沿って8月末の概算要求や税制改正の検討を進め、22年の通常国会に新たな振興策を進める根拠となる法案を提出する。

振興措置継続の必要性に言及


 「一人当たりの県民所得、子どもの相対的な貧困率はまだまだ厳しい状況にある。今一度、法的措置を講じて振興策を推進していくことにしなければいかんなと思っている」

 河野太郎沖縄北方担当相は24日の閣議後会見でこう強調した。

 「基本方向」では、現行の沖縄振興計画(2012~21年度)で県内総生産や就業者数が全国を上回る伸びを示し、本土とのインフラ整備の格差が縮小されるなど一定の成果が得られたと強調。その一方、一人当たりの県民所得はいまなお全国最下位にあり、子どもの相対的貧困率が全国を大きく上回る水準にあるとして、振興措置を継続する姿勢を鮮明にした。

 22年度以降の沖縄振興を占う上で、特に一括交付金の存廃や酒税軽減など税制優遇措置の行方が焦点の一つとされていた。一括交付金は仲井眞県政時代に民主党政権との交渉により現行計画で初めて導入された。県や市町村にとって使途の自由度が高いこの制度により、これまでは実施が難しかった事業が進められるようになった一方で、自治体の執行率の低さなどが問題視されてきた経緯がある。基本方向では「有効活用等に留意しつつ」と断った上で、22年度以降も一括交付金制度を継続する方針が打ち出された。

 ビールや泡盛の酒税軽減措置は、沖縄が本土復帰した1972年に「激変緩和措置」として始まった。「半世紀も続く激変緩和措置なんてあり得ない」(政府関係者)との疑問の声も上がる中で、今年6月の自民党沖縄振興調査会の会合では、オリオンビール前社長が酒税軽減措置からの「卒業」に言及し、泡盛業界の代表者からも段階的な自立を目指す発言があった。こうした地元の決意が基本方向にも反映された形で、「5年及び10年以内に段階的に廃止する」と謳った。

 復帰以来続いてきたガソリン税の軽減措置については「趣旨や影響を踏まえて必要な措置を講じる」とした。

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