デジタル庁創設で沖縄県自治体もデータ連携へ 県民への恩恵は?

 

 縦割り行政解消や国全体のデジタル化などを目的とした新たな国の行政機関「デジタル庁」が9月1日に創設されるのを前に、沖縄県内での自治体でも対応が進み始めている。IT技術を活用して人々の生活をよりよくシフトさせていく概念「デジタル・トランスメーション(DX)」で行政手続きを簡略化し、市町村をまたがって個人データを同意に基づき共有することで、これまでは叶わなかった「その人の健診記録を他市町村で共有し合い、行政をまたいでも最適な医療を提供する」などの実現も将来的には可能となりうる。子どもたちに向けたIT人材育成事業などを独自に行う沖縄県浦添市の取り組みを聞く。

“非DX社会”が生んでいた悲劇

 「市町村が行政業務で使っている(パソコンソフトやデータベースなどの)システムが違うんですよ」と話すのは、浦添市企画課デジタルシティ推進室主査の宮城良典さんだ。各自治体で使うシステムが違うことで、どのような弊害が生まれ続けていたのか。
 「例えば、ある人が浦添市から名護市に引っ越すとしますよね。すると住民票を移すことになりますが、浦添市に転出届を出して、名護市に転入届を出して、というように、合計で2回の手続きをしなければなりません」

浦添市企画課デジタルシティ推進室主査の宮城良典さん

 システムが異なりデータ連携ができていないのは、同一市役所内の部署間でも同様だ。国民健康保険、子どもの学校関係、親の介護の手続き、ペット犬の登録など、それぞれの窓口で別々の手続きが必要だ。

 市町村で行う健康診断の結果を共有できていないことも代表的な弊害の一つだ。
 ある浦添市民の男性は、80歳近い高齢の母親を例に挙げ「行く病院がちょっと変わっただけで、既往歴や飲んでいる薬が分からなくなってしまいます。お薬手帳頼みになるわけですが、もしも間違って記入していたら危ないですよね」と声を上げる。
 また別の30代男性は「体の異変を訴えた身内を亡くしたことがあるのですが、直前に受けた人間ドッグの記録が共有されていたらすぐに原因が分かるようなことでした」と、“非DX社会”の悲劇を明かす。

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