岐路を迎えた沖縄縦貫鉄道 次期振興計画を前に「本気度」をどう示すのか
- 2020/10/22
- 政治
「2019年度末に着工できるよう、取り組みを加速していく」
7年前、当時の仲井真弘多知事がそう力を込めた沖縄縦貫鉄道。だが、名護-那覇を1時間で結ぶ構想は、いま岐路にさしかかっている。
2021年度末に現在の沖縄振興特別措置法が期限を迎えるのを前に、県は22年度以降の次期振興計画を見据え、10月末に「新たな沖縄振興のための制度提言(中間報告)」をまとめる。「沖縄型スマートシティ推進制度」や「中小企業DX支援パッケージ」など、69項目に及ぶ提言が盛り込まれるが、その筆頭項目にあげられているのが「沖縄鉄軌道の整備」だ。
提言では、「広大な米軍基地の存在、基地周辺での無秩序な市街地の形成、広域道路網の整備の遅れ及び急激な自動車交通の増大などの歴史的・社会的事情は、慢性的な交通渋滞、公共交通の衰退、環境負荷の増大など様々な問題が生じている」と訴える。
県交通政策課公共交通推進室の寺本美幸室長は、「鉄軌道はもともと民間の事業として採算がとれるものではない。“全幹法”を参考にした特例の創設を求めていく」と話す。
“全幹法”とは、全国新幹線鉄道整備法のこと。新幹線を整備する際、線路などの”下もの”は国(鉄道運輸機構)が整備し、列車(上もの)の運行は民間会社が担う「上下分離方式」を定めた法律だ。要は、沖縄戦で壊滅した鉄道が復旧されず、全国で唯一、国鉄=JRの恩恵を受けてこなかった沖縄県に対し、国が責任をもって鉄道を整備してほしいというのが県の提言の趣旨だ。