岐路を迎えた沖縄縦貫鉄道 次期振興計画を前に「本気度」をどう示すのか

 

 その後、国との激しい交渉を経て、2012年7月、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」のもとに「第4次総合交通体系基本計画」がまとめられ、基本計画の中で初めて「鉄軌道の導入」が明記された。いまでももちろん、県のパンフレットには、普天間飛行場返還跡地のど真ん中を南北に鉄軌道が走る線が、しっかりと書き込まれている。

問われる沖縄県の戦略

 鉄軌道構想は、18年に那覇-浦添-宜野湾-北谷-沖縄-うるま-恩納を経て名護にいたる「C派生案」のルートがほぼ確定して「構想段階」を終えた。いまは、整備計画を決定する「計画段階」の入り口にさしかかっているが、実態は費用便益調査を繰り返すばかりで「入り口」から先に進めない状況だ。

 整備が実現し、実際に開業するのは2040年頃とも言われるが、その頃には新型コロナウィルスの影響が直接関係することはないだろう。しかし、コロナ禍は全国で在宅勤務を定着させ、私鉄、JRを問わず鉄道事業の構造そのものの変革が迫られている。今後、鉄道事業の需要予測モデルに影響が出てくる可能性も指摘されている。

県庁は鉄軌道構想をどう進めるのか

 こうした状況の中、県は鉄軌道構想をどのように進めていくのか。交通政策課の寺本室長は、「22年度以降の新法の中で、まずは鉄軌道の調査のあり方をどう位置づけるのか、いま整理をしているところ。まだ何かを発信できる段階ではない」と言う。

 鉄軌道に対する「沖縄の本気」を、どう国に示していくのか。玉城県政はしっかりとした戦略を立てることができるのだろうか。

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森 創一郎

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1972年生まれ。東京出身。出版社、雑誌社、地方放送局勤務を経て2020年7月に独立。主に経済、交通分野で執筆活動を続けている。私生活では山を愛し、時間をみつけては登山に勤しむ。

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