「厳しさ増している」 玉城知事、安保環境で見解

 
定例会見で発言する玉城デニー知事=23日、県庁

 沖縄県の玉城デニー知事は23日、県庁で定例会見し、台湾海峡をめぐる状況について、アジア太平洋地域の安全保障環境の厳しさが増しているとの認識を示したほか、政府が閣議決定した安全保障関連3文書で、防衛予算の増額や、敵基地攻撃能力を保有することなどを明記したことについては「抑止力の強化が、地域の緊張感を高め、不測の事態が生じることを非常に懸念している」との認識を示した。

 玉城知事は「国に対してこうした事態が生じることのないよう、最大限の努力を払うとともに、平和的な外交や対話による緊張緩和と信頼の醸成に取り組み、これまでもこれからも強く求めていきたい」と強調した。

 一方、記者団から出た、中国が軍事力を増強させたことで周囲の緊張を高めているとの指摘については「(中国が)軍事力を増強させているということは承知している。ただ、軍事力を増強させることに対する抑止力の強化が、相手の軍事力をさらに高めていくということは、これまでも軍事評論家から懸念が表明されている」と述べた。

 また、政府が海上保安体制の強化の方針を示し、海上保安庁の予算を2027年度に3200億円に増額することを決めたことに対しては「非常に有益だと評価をしたい。当然、国境離島を含む沖縄県としては広大な海域を有しているので、広大な海域全般をしっかりと守っていくという意味で、非常に良い評価をしておきたい」と語った。

 原油高や円安の影響で飼料・肥料の高騰が続いていることを踏まえた農家支援についての考え方については「農業への全般的な支援は、食の安全保障という観点から、政府を挙げてしっかりと支援を行わなければならない。県としてもできる限り支援の芽をしっかりと広げていきたい」との認識を示した。

 2022年沖縄県政の重大ニュースとしては、各部局の取り組みから、沖縄復帰50周年記念式典の開催や過去最高の税収入など13項目を発表した。玉城知事自身は、復帰50周年に取りまとめた「建議書」を挙げた。

 玉城知事は、建議書について「復帰100年を迎えた時に、現在の状況がどれだけ解消され、発展されているかということを検証する意味での『一里塚』のような位置付けだと捉えている」と述べた。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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