事務所、ノボリ、選挙カー無しの理由 那覇市議・奥間亮氏に聞く

 

 11日に投開票された那覇市議会議員選挙。コロナ禍のなかでの選挙とあって、各候補者の陣営ともそれぞれどう戦うか模索を余儀なくされたが、そのなかでも異例だったのが、選挙事務所を構えず、選挙カーも使わず、そしてノボリも出さないという手法を取った奥間亮氏だ。いずれもこれまで選挙で必須とされてきたものばかりなのにも関わらず、なぜこのような手法を取ったのか。その理由を奥間氏に聞いた。

―今回事務所を構えなかったのはなぜですか。

奥間氏「やはりコロナ対策です。地元の支持者には年配者の方が多いことに加え、これまでの過去2回の選挙では事務所に支持者の皆さんが集ってくださったことからも、事務所を構えると人が集まるという状況を生むことが目に見えていました。大切な人たちを感染のリスクにさらしたくないというのが大きな理由です」

―どのような選挙運動を展開していましたか。

奥間氏「地域を歩いて、公職選挙法で禁じられている戸別訪問に当たらないような形で挨拶回りを行いました。夕方に道を歩いている地域の方にあいさつしたり、庭先で作業している方に声をかけたりしました。新型コロナの感染リスクを避けながら、屋外で距離を取って顔を合わせる、ということに努めました」

―事務所を構えないことは大きなチャレンジだともいえると思います。

奥間氏「チャレンジでした。しかし、世の中がリモートワークなどでみんなが工夫して頑張っている中、政治家の選挙活動だけ変わらないというのが納得いかなかったんですよ。しかも緊急事態宣言下だったじゃないですか。むしろ議員こそが新しいチャレンジをしなければならないと思いました」

奥間亮氏=15日、那覇市議会会議室

―不安ではありませんでしたか。

奥間氏「今までの選挙では『人が集まってくれる』というのが心の支えになっていたので、孤独感は強くありました。手応えが分からず、最後の最後まで本気で落選すると思っていました。精神的に不安定になって、自宅で開票速報を見ようにもなかなか見られない状態が続きました。メディアから当確が出たことは妻に教えてもらいました」

―結果は3922票を獲得して2期連続のトップ当選となりました。県議選や市長選などへの待望論も周囲からは聞こえてきます。

奥間氏「県議選や市長選に出る気はありません。那覇市議会を良くしたいと思っているからです。市議会が良くなれば行政へのチェック機能が高まります。例えば、那覇市上下水道局庁舎駐車場の賃貸借契約の違約金を放棄するという議案があったのですが、それを反対多数で否決して約4900万円を無駄にしなかったのは、議会の力があったからでした。那覇市議会が良くなれば那覇市が良くなって、那覇市が良くなれば沖縄県が良くなると信じています。なので、私は那覇市議会で頑張りたいです。身近な地域が良くなると、市民にとっても政治の役目が分かりやすく見えてくるのだと思います。40人の議員で議会の権能を果たしていくべきです。保革や与野党などで分けるのは、市議会では何の意味も持たないと思っています」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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