次期振興計画に対する政府の立場は「白紙」 

 
講演で発言する内閣府沖縄振興局の原宏彰局長=12日、那覇市

 現行の沖縄振興計画が今年度末で期限を迎えるのを前に、政府・与党から発信が相次いでいる。沖縄経済同友会が12日に那覇市内のホテルで開いた特別講演会では、内閣府沖縄振興局長の原宏彰氏が、「今後の沖縄振興について」と題して講演した。原氏は、本土復帰後に集中的に整備した橋や道路など社会資本の老朽化に言及したほか、質疑応答では次期沖縄振興計画について政府の立場は「白紙」と語った。

 原氏は「来年は復帰50年。沖縄が次の振興のターゲットを何にするのか、県民全体で議論してほしい。全国民からの理解や共感を得るため、沖縄の特殊性や置かれている地位を、よく分かってもらえるような理論武装も必要になる」と強調した。

 沖縄振興計画は、本土との格差是正や民間主導の自立型経済の構築を目的に、1972年度以降、沖縄振興特別措置法に基づいて策定されている。2012年度からの始まった現行の振興計画である「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は、22年3月末で期限が切れる。

 原氏は、内閣府が今年3月下旬に発表した現行計画の総点検結果を説明。主要分野の成果として、▽沖縄経済をけん引する観光や情報通信などのリーディング産業の成長▽小中学生の基礎学力の上昇▽社会資本整備の全国水準差の縮小―などを挙げた。

 一方、一人当たり県民所得が全国最下位である現状や、若年層を中心とした完全失業率の高水準などを指摘。「沖縄の優位性を活かした自立型経済の発展と、豊かな県民生活の実現に向けた課題が残されている」などと語った。

 その上で、課題の克服に向けて▽企業の収益力・生産性の向上▽雇用の質の改善▽困窮世帯への総合的な支援▽教育・人材育成の推進―などを提示した。

「単純延長はあり得ない」

 また、14日に行われた自民党の沖縄振興調査会(小渕優子会長)に参加した自民党県連の中川京貴会長と座波一政調会長らは15日、那覇市内で会見し、小渕会長が沖縄振興計画について「単純延長はあり得ないのではないか」と発言したことを明らかにした。

会見する自民県連の中川会長(左)と座波政調会長(中央)ら=15日、那覇市

 会見で、座波政調会長は、自民党県連の基本的事項として、▽沖縄振興特別措置法の延長▽改正駐留軍用地跡地利用推進特別措置法の拡充▽沖縄振興開発金融公庫の存続▽沖縄振興予算、一括交付金等の維持と拡充―の4項目を要望したことを説明した。

 小渕会長は沖縄振興計画の延長について「単純延長はあり得ないのではないか」との認識を示したほか、沖縄の将来像に向けた議論が足りないと指摘。「議論なしには、継続も予算の積み上げもやりたくてもできないのではないか」との意見も出たという。

 中川会長は、沖縄振興計画の継続について「コロナ危機、経済危機は来年、再来年に間違いなく影響が出てくる。そういう意味で10年の延長は、県民の生活を守れるか守りきれないかの大事な局面だと思っている」と強調した。

(記事・写真 宮古毎日新聞)


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