選挙戦を終えた4人の「その後」那覇市政に新風、若者たちの言葉

 

 任期満了に伴い、7月11日に投開票された那覇市議会議員選挙では、40の議席を巡って63人が立候補し、混戦が繰り広げられた。投票率が過去最低の46.40%だった一方で、改選前にはゼロだった20代の3人が新人として当選を果たした。本サイトでは投開票前の6月19日時点で立候補を表明していた20代の4候補者のインタビューを掲載した。そのうち外間有里さん(自民)、普久原朝日さん(立民)、瀬名波奎さん(にぬふぁぶし)の3人が当選し、當銘和樹さん(維新)は惜しくも及ばなかった。

 選挙戦を終えた4人に、選挙活動の振り返りや今後の展望などについて、改めて話を聞いた。

外間さん「期待の票を感じています」

外間有里さん=那覇市内、6月19日

―当選証書付与式を終えての感想は。

外間さん:当選証書の付与式で議場へ行き、他の39人の当選者の方と顔を合わせて挨拶したことで「ここで仕事をしていくんだ。これからこの人たちと那覇を良くしていけたら」と気持ちを新たにしたところです。党派を超えた動きも含めて、若い世代で集まって勉強会などもやっていきたいと思います。

―選挙戦を振り返ってみていかがでしたか?

外間さん:出陣式の段階から多くの応援を頂いて、ありがたかったです。夏場で灼熱の中、体力面など自己管理も必要としながらの駆け抜けた1週間でした。やりきったという気持ちはすごくあります。

―3000票以上の付託を受けて5位で当選しました。

外間さん:初めて選挙に出た人の中では一番多くの票を頂けたというのは「期待の票」であると強く感じています。

―若い世代だけではなく、女性の当選者が多かったのも今回の那覇市議選の特徴でした。そういった意味でも外間さんが象徴的な当選者だったのかなと思います。

外間さん:女性議員の比率が、他の地域に比べても増えたというのは、那覇市の将来的な可能性が広がるのではと楽しみな思いがあります。女性が社会的に活躍していくという点では、女性特有の困り事を、議会だけではなくて、経済界でも共有できると思います。

普久原さん「しがらみと分断超えて取り組みたい」

普久原朝日さん=13日、那覇市内

—2720票を獲得して当選しました。選挙戦はどうでしたか?

普久原さん:市民の方々の反応が日に日に良くなっていったのを実感していました。告示後はそれまでに準備してきたことの集大成という感じで展開できたかな、と思います。特に力を入れたのはスポット演説で、ひたすら細かくやりました。コロナ禍ということもありなかなか人に直接会えない中、とにかくスポットに尽力して、多い時で1日に40箇所以上まわってアピールしました。

—投票率は下がってしまいましたが、一方で20代は3人が当選しましたね。

普久原さん:今回は候補者も多彩でかなり興味深い選挙だったと感じていたので、市民の関心を集めて投票率が上がってほしかったですけどね。自分も含めて若い世代が目立つ結果になったのは、現状に対して「このままじゃいけない」と感じて、期待を込めてくれた有権者の方々の存在があると思います。実際、地域をまわった時にも「もう若い人に任せないとね」という声も度々聞きました。

—市議会議員としてのスタートラインに立ちました。抱負と取り組んでいきたいことは。

普久原さん:今の体制やシステムをすぐに大きく変えられるとは思っていませんが、現代の若者として感じていること、感じてきたことを少しでも市政に反映させていきたいです。「那覇市を良くしていきたい」という思いは一緒なので、党派を超えて若い世代で集まって勉強会もしてきたいと考えていて、当落関係なく他の候補者の人たちとも連携しようと話しています。度を越した政党間や政治家間の対立は望ましくないですし、市民からすれば「我々のために何をしてくれるのか」というのが最も関心も優先度も高いことだと思います。その感覚を忘れないように、しがらみと分断を超えて公約に掲げたことに1つ1つ取り組んでいきたいです。

瀬名波さん「与野党を超えて率直な議論をしたい」

瀬名波奎さん=13日、那覇市内

―当選した時の気持ちは。

瀬名波さん:当確報道ではなく、選管発表のデータを目にした支援者から結果を知らされた感じなので、最初は実感がありませんでした。途中までは負けると思っていて、(ある程度当確報道が出そろった)23時の時点で落選を覚悟して、敗戦の弁を考えていたところでした。翌日昼になって実感がわいてきて、混じりっ気のない感謝の気持ちでいっぱいになりました。

―議員として力を入れていきたいことは。

瀬名波さん:自分たちの生活のことは、政治で変えることができると思っています。議員として市民相談を積極的にやっていきたいです。選挙運動をしていたこの4か月間で、子育ての不安や行政上のサポートを求める声など、同世代のリアルな悩みに触れる機会が多くありました。こういった声をどんどん政治に反映させていきたいです。これまでは友人として相談を受けていましたが、これからは議員として相談を受けることができます。どんどん歩き回って、どんどん聞いていきたいです。

―今後の議会にはどう臨んでいきたいですか。

瀬名波さん:「与党」「野党」などと分け隔てることがなく、政治家として出世を目論もうという野心もない分、保守中道の立場として与野党を超えて率直な議論を重ねていきたいと思います。

當銘さん「4年後、“合流”して一緒に」

當銘和樹さん=13日、那覇市内

—当選には至らずという結果でしたが、今回の選挙戦は振り返ってみていかがでしたか?

當銘さん:率直に言って、めちゃくちゃ悔しいですね。維新は沖縄に組織がなく、人員もあまりいない状態での選挙戦でした。家族・親戚や知人の協力を得ながら臨みましたが、及びませんでした。そもそも、前段階の準備も十分ではなかったので、ひとえに準備不足ということに尽きると思っています。

—手応えはどうでした?

當銘さん:ずっと「厳しい」という感じていました。演説で足を止めてくれる人もあまりいませんでしたし、ビラを受け取ってもらえる数も少なかった。ただ、とても良い経験になりました。無所属の他の候補者たちと協力してポスターを貼ったりして、その感じは良いなと思いました。候補者同士で為書きを書いたりしました。あんまり見たことないですけれど(笑)

候補者同士で書き合った為書き

—今後についてはどうですか。次回市議選は。

當銘さん:私と政党に票を入れてくれた方々がいたことをきちんと受け止めたいです。「1回だけの挑戦で通れるほど甘くない」という声もいただいたので、次も挑戦したいという気持ちは現時点で8割くらいはあります。あと2割は…今選挙直後なので「しんどかったな」という思いもちょっとあります(笑)同年代の若い人たちが3人当選していることは素直に嬉しいですし、4年後に“合流”して那覇市のために一緒に頑張れたらいいな、と思っています。

■関連リンク
政治を志す若い世代が考えていること 那覇市議選・20代候補予定者インタビュー | HUB沖縄

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