コロナ感染、沖縄で「リバウンド」の可能性

 
会見で発言する玉城知事=14日、県庁

 県は14日、前週の同じ曜日と比べて25人増の83人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。懸念されていた「リバウンド」発生の可能性も出てきたと言え、新規感染者数の増加が続いた場合には、緊急事態宣言の早期解除を目指す県は正念場に立たされることになる。

 政府による緊急事態宣言は、県内では5月23日から発令された。当初は6月20日だった期限だが、その後に7月11日まで延長され、さらに8月22日への再延長もなされた。県が「まん延防止等重点措置」への移行を要請する一方で、国が再延長を決めた際には観光業界から悲鳴が上がった。

 宣言の再延長を受け、県は感染を抑え込むことで7月末までの早期解除を目指す方針を表明。その後、新規感染者数は徐々に減少を続けていた。それだけに、県は14日の新規感染者増に対して敏感に反応し、玉城知事は臨時会見で「再び感染急拡大となれば緊急事態措置の解除は困難となってしまいかねない」と危機感をあらわにした。

デルタ株の割合が上昇

 県内では、感染力の強いインド由来の「デルタ株」の割合も上昇しつつある。デルタ株は6月24日に初めて県内での確認が発表され、13日までに20人が同株または疑い例と判明。14日には、16人の疑い例が発表された。

 同変異株または疑い例の検出率は、6月28日~7月2日は3.02%、7月5日~9日では4.43%だったのに対し、今週分は暫定値ながら25%に跳ね上がった。県の糸数公医療技監は「一気に16人はかなり多い。拡大が急激になっている可能性がある」と懸念を示した。

 玉城知事は、会見で「来週の連休に端を発する人流増加に危機感を持っている。帰省を含めて沖縄に来ることは自粛を改めてお願いする。やむを得ず来沖する場合でも、15日から受け付けが始まる羽田、成田、伊丹、関西、福岡空港から沖縄に向かう航空便搭乗者向けの無料検査を活用するなど、必ず事前のPCR検査か抗原検査をしてほしい」と強調した。

店を開ける飲食店も出始める

 県が危機感を訴える一方、緊急事態宣言による休業要請や時短要請が長期間にわたったことで耐え切れなくなった飲食店では、営業を再開する店舗も出始めた。県の担当者は「夜の街の飲食等での感染が再び増え始めているのではないか」と分析した。

 14日の会見では、県外からの人流増加と新規感染者数の増加についての質問が出た。県の担当者は「繁華街や空港で人の流れが増えてきている。特に那覇市、宮古、石垣では県外者の数が増えており、それに関連する感染が広がっているのではないかと推測している」と述べた。

 「現状で、かなりの制限をかけている。今後取り得る手段は少ないのではないか」との趣旨の質問に対して、玉城知事は「今は飲み会や模合、イベントに参加しないようにと繰り返し呼び掛けていきたい。また、ワクチン接種券が来た方は、早目に予約を入れてワクチン接種に協力してほしい」と答えた。

 長期の要請に苦しむ観光業界、県外からの人流増加、感染再拡大の気配など、県のコロナ対策をめぐる状況は複雑さを増した。ワクチン接種のさらなる促進など、玉城県政の手腕が強く求められている。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)


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