【宜野湾市長選】普天間返還「道筋付ける」 現職・松川氏が政策発表
- 2022/8/25
- 政治
9月11日投開票の宜野湾市長選(9月4日告示)に向け、2期目を目指す現職の松川正則氏(68)=自民、公明推薦=が8月24日、市大山の宜野湾マリン支援センターで政策発表を行った。コロナ禍で打撃を受けた経済の再生を優先課題に挙げたほか、1期目で着手できなかった火葬場の建設にも意欲を見せた。市の中央に位置する米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設については、危険性除去を理由にこれまでも「容認せざるを得ない」という立場を示しており、「返還時期の明確化を日米両政府に強く求め、返還までの道筋をきっちりと付ける」と力強く語った。
市長選には、辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力が擁立した新人の仲西春雅氏(61)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=も出馬を表明しており、4年前と同じ顔合わせとなる見通しだ。
経済再生が喫緊の課題
1期目の4年間については市道宜野湾11号の全面開通や西普天間住宅地区の跡地開発、消防署我如古出張所の建て替え、普天間小学校の改築などを挙げて「大型事業を着々と推進し、市民の生活環境の改善や教育環境の整備を図ってまいりました」と実績を強調。それを念頭に「引き続き国と連携して必要な補助金を獲得し、市内企業の活性化に取り組みます。雇用の確保、所得向上により生活の向上に繋げてまいります」と訴えた。また、4年前に掲げた公約69項目のうち88.4%に当たる61項目を達成、または着手済みと報告した。
「暮らし」「健康」「地域力」「基地のない平和」「夢のある明日」の5項目において”宜野湾がいちばん”をテーマとし、全70項目の政策を掲げた。
「喫緊の課題」に挙げたのは、コロナ禍からの経済の立て直しだ。「市民生活の向上を主眼に取り組んでいこうと考えています。沖縄では子どもの貧困という課題も言われて久しいですが、経済が活性化することによって貧困の解消にも繋がると思っています」と語った。
その上で高度情報通信機能を備えた「情報通信施設」の建設や産業支援センターの設置、店舗リフォーム補助制度の拡張、西普天間住宅地跡地内への大規模な市民駐車場の建設などを列挙した。
その他、西海岸沿いにあるぎのわん海浜公園内の屋外劇場を8,000人規模に改築し、著名アーティストの資料館を併設することや、スケートボード場の建設推進、通院費と入院費の現物給付による完全無料化の対象を中学生から18歳まで引き上げることなども約束した。
普天間の返還「時期の明確化求める」
普天間飛行場の返還時期については「日米両政府や玉城デニー知事に1日も早く閉鎖、返還してほしいと訴えてきておりますが、現実的にこの問題はあした解決するようなものではない。将来的にいつ返還されるのかということを明確に期日を示してほしいです」と求めた。
市長選と同日に投開票される県知事選に出馬する佐喜眞淳前市長が、公約で「2030年までの返還」を掲げていることに触れ、「那覇空港の第2滑走路は8年の工期の予定が7年半で完成しました。第2滑走路は(辺野古の埋め立てと)面積が近いと聞いており、既に30%の埋め立てが終了しているということからしても、2030年の返還は要望できる話ではないかと考えております。しっかり交渉してまいります」と強調した。
普天間飛行場の跡地利用については「多くの公園を確保し、緑豊かな跡地にしたいと考えています。国連の施設の誘致であるとか、様々な夢を描ける素晴らしい跡地にしたいです」と未来を描いた。米軍基地由来と見られる有機フッ素化合物PFOSを含む湧水が市内で確認されていることを受け、「市民が水と触れ合う公園、せせらぎ等につき、除去装置を設置し、市民の不安解消に努める」と対策を説明した。
火葬場の建設に意欲
1期目の公約でも掲げた火葬場建設は、宜野湾市、西原町、北谷町、北中城村、中城村の中部5市町村で建設を予定していたが、候補地の住民からの反対や財源不足で2016年に白紙になった経緯がある。中部地域には火葬場が少ないことから、火葬に時間が掛かることや、住民の金銭的負担が大きいことなどの課題がある。
松川氏は1期目で建設に着手できなかったことについて「コロナ禍や、近隣市町村の首長が変わかったこともあり、調整が難しかった。2期目でなんとしても道筋を付けたい」と強い意欲を示した。
松川正則(まつがわ・まさのり)
1953年9月20日生まれ。宜野湾市野嵩出身。琉球大学短期大学部卒。1973年に宜野湾役所に入所し、市議会事務局長や副市長などを歴任。2018年に佐喜眞前市長が県知事選に出馬したことに伴い、後継として宜野湾市長選に出馬し初当選。現在1期目。