【参院選】伊波氏勝利は「熱量が伝わった証」玉城知事一問一答

 
伊波洋一氏の勝利を受け、報道陣の質問に答える玉城デニー知事

 7月10日に投開票された第26回参議院議員通常選挙で、沖縄選挙区の無所属現職・伊波洋一氏の陣営に応援に駆けつけた玉城デニー知事。伊波氏の当選を受けて、接戦の末に勝ち取った1勝を噛み締めた。その上で秋の知事選に向けて「伊波さんが訴えてきたことを“沖縄県政バージョン”にして、しっかり選挙で掲げて訴えていきたい」と抱負を述べた。報道陣の質問に答えた玉城知事の一問一答は以下の通り。


「出来ることに取り組んだ結果」

 ―非常に接戦でしたが、どうご覧になりましたか。

「厳しいだろうという予想をたてて、必死に後援会活動、市民活動を展開してまいりました。相手陣営には政府、それから政党からたくさんの人が激励に来られて、その意味でも危機感の持ち方を日々改めていました。日夜支援者の方々が手分けして地域を走り、電話をかけ、ネットで投稿するなど、自分たちが出来ることに取り組んでいただいた、その結果だと思っています」

 ―今回の勝利はどのような民意が反映されたものだと受け止めていますか。

「伊波さんは今回の選挙戦では『基地問題ばかり』というイメージが貼り付けられているという側面もあったと思っています。しかし経済を先ず立て直すということをしっかりと訴え、県民の生活を、暮らしを支えるということを訴え、そして、だからこそ平和に関わる基地問題は政府の責任でもあるということも同時に決着させていくと強調した。
 そうしたことを非常に熱量のある形で語ってずっと頑張ってきた。1期6年間、国会で170回余りの質問も出し、政府の姿勢もただし、時には『沖縄はこうして考えているから』という提言も含めて、地道に多岐にわたって問題提起をしてきたということが、今回の選挙戦の中での本人の演説や、あるいは後援会のみなさんの政策の中で伝わった証だろうと思います」

 ―一方で、前回と比べると非常に接戦になり「オール沖縄」という言葉がなかなか聞こえなくなりましたが、その変化についてはどう感じていますか。

「オール沖縄は非常にウイングの広い団体や個人の集合体です。ですから、普段は顔を見せていない方々で、ご自身の『オール沖縄に賛同する』という気持ちで地道に頑張ってもらった人も大勢います。私たちはそのことをしっかりと受け止めつつ、表に見える形でその人たちがつながるように活動していくというのがオール沖縄の闘いの形だと受け止めています。その意味で、オール沖縄という考え方や運動の形というのは、県民の皆さまにしっかりつながり、リーチして選挙の結果になったのではないかと思います」

知事選の目標は暮らし立て直しと観光立県体制構築

―選挙戦18日を振り返って、ご自身がコロナということもありましたし、さらに凄惨な事件もありましたが、そうしたことを踏まえて総括するといかがでしょうか。

「私もコロナウイルスに感染してしまい、公務を休まざるをえないということでご心配ご迷惑をおかけしました。ただ、激励お見舞いの言葉をいただけた上に『その分私たちも選挙で頑張るから』とも言ってもらえた。その気持ちがあたたかくて心強かったんです。そんな中で金武町の流弾事件と、そして安倍元総理がお亡くなりになる衝撃的な状況が最終盤に起こってしまった。国民の皆さんにとっても、関係者にとっても大きな衝撃だったし、選挙への取り組み方への変化もあったかもしれません。
 しかしそこから最終的に、土曜に何とか伊波さんと一緒に那覇市を中心にまわって、街頭に出ました。そしたらちゃんと皆さんが反応してくださって。団地のベランダから大きく手を振ってくださり、道を歩いている方も止まって話を聞いてくださる。真摯に訴えていくという伊波さんのセオリー通りに、変わらず皆で支えてやってきたということが結果にも表れているのだろうと思いました」

 ―今回の参院選は秋の知事選に向けて非常に重要な位置づけだと思いますが、それについてはどう考えていますか。

「おそらく知事選挙は、今回の参院選と争点が似ている部分もたくさん出てくると思います。県民の暮らしを立て直していくことと、そして観光立県・沖縄が感染対策を徹底しながらお客様を迎える体制を整えていかなければならないということ。そのためには医療や介護の現場ともしっかりと意思疎通を図りながら、全ての県民にとって安全を実感できる島を作っていくということが私の選挙戦に向けての取り組みの大きな目標かな、といったところです。
 そして、辺野古に基地を絶対作らせない。このことは今回の選挙でも伊波さんも堂々と主張しましたし、相手候補は『容認』ということで同じ論点でしっかり県民の皆さんにご判断を求められたと思う。ですから私はこれらの論点も含めて、伊波さんが県民の皆さんに訴えていただいたことを“沖縄県政バージョン”にして、公約としてしっかり選挙で掲げて訴えていきたいと思います」


真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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