【那覇市長選】「協働によるまちづくり」が旗印 知念氏が政策発表

 
那覇市長選に向けて政策を発表する知念覚氏(中央)

 任期満了に伴って10月23日に投開票される那覇市長選に向けて、前那覇市副市長の知念覚氏(59)が那覇市内の事務所で会見し、政策発表を行った。コロナ禍や物価高騰への緊急対策や、子どもの成長を育む土台づくりなどの短期重点推進事項と、那覇軍港の早期移設やLRT導入検討も含めた都市交通網の充実化などの中長期推進事項に分けて政策を説明した。
 那覇市の政策推進について知念氏は、那覇市のまちづくりの旗印が「協働によるまちづくり」であるとして、その旗のもとで「まちづくりへの思いをひとつにしなければなりません」と述べた。

都市としての可能性を紡ぎ合わす

 マイクを握った知念氏は、地方自治の現場で積み重ねてきた行政経験をアピール。那覇市の都市としての可能性をしっかりと紡ぎ合わせ「未来への新しい一歩にしたい」と語った。さらに、コロナ禍で社会経済活動が大きな制約を受けている現状の中、「市政から離れた政治姿勢で、いたずらに対立構造をまねくべきではなく、それによる市政運営の無用な混乱と停滞はあってはなりません」と強調した。

 任期中に「必ず成果を出す」とした短期重点推進事項は「7つの希望」と題して、①コロナ禍・物価高騰への緊急対策、②こどもの健やかな成長を育む土台づくり、③市民の力を点から線に、線から面に、市民協働の深化、④自治体DXを加速するとともに、全市的なDX推進、⑤公園の可能性を最大限に引き出すパークPFIの推進、⑥都市型MICEの誘致促進による稼ぐ力の向上、⑦道路の雑草管理を徹底しての快適な道路空間の提供といった項目を挙げた。

 さらに、確実な推進によって「那覇の可能性を広げるため」の政策とした中長期重点推進事項は「5つの種まき」として、①那覇軍港の早期移設を推進し、跡地利用計画を策定、②LRT導入に向けた検討を進めるなど都市交通網の充実化、③地域包括ケアシステムの構築いよる支え合いの仕組み作り、④密集市街地の再整備を進め、安全で利便性の高いまちづくり推進、⑤脱炭素社会実現を向けた取り組みの着実な推進の5項目を発表した。

最終到着点は「地域包括ケアシステムの構築」

 報道陣からの質疑で、市政運営の方向性について翁長雄志市政・城間幹子市政と比較した時のスタンスについて問われた知念氏は「基本的には私は私の市政を目指すということです」と前置きした上で、「今まで作り上げてきた那覇市の大きな旗印『協働によるまちづくり』を掲げていくことと、第5次総合計画を基本路線にして進めていくという点においては城間市政の継承にあたると思います」と述べた。

 その中での自身の独自色について知念氏は「1番重視している最終到着点は地域包括ケアシステムの構築です」と答え、「これから高齢社会が本格化していく中で、地域でスーパーがあり、医療機関があり、コミュニティがあるというまちづくりは、都市計画の全てが絡んでくる『総合力』が問われるものだと考えています」と説明した。

 この他にも、子ども、働く人・企業、福祉・医療、暮らし・地域、自然・環境、平和・文化、人権・女性・安全の7分野に分けた個別推進事項も多数掲げている。

 例えば子ども分野では、主なものとして「こどもの権利条例」を制定することや、保育の質の向上のため現行補助制度の対象拡充を強調し、福祉・医療では地域包括センターの機能充実化や社会福祉協議会のフードバンク支援による支え合いの仕組み作りについても言及した。また、人権や女性については、女性の管理職登用の促進やパートナーシップ・ファミリーシップ制度を通した多様性ある社会の構築なども打ち出している。

■関連リンク
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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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