【豊見城市長選】新人徳元氏が初当選 自公系が市政奪還

 
徳元次人氏=10月2日、豊見城市内

 任期満了に伴う豊見城市長選は9日に投開票が行われ、無所属新人で前市議の徳元次人氏(41)=自民、公明推薦=が1万3335票を獲得し、初当選を果たした。次点だった無所属現職の山川仁氏(48)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に2800票差を付けた。NPO法人沖縄国際人材支援センター理事で無所属新人の辻内岳晴氏(42)は草の根的な活動を展開したが及ばなかった。

 開票結果(選管最終)は以下の通り。

徳元次人氏 13335票
山川 仁氏 10535票
辻内岳晴氏   668票

 当日有権者数は4万9888人。投票率は49.72%で過去最低となった。

市長選で保守系が連勝

 沖縄の「選挙イヤー」ともいわれる今年に入ってから、市長選については、1月の名護市長選と南城市長選挙、2月の石垣市長選、4月の沖縄市長選、9月の宜野湾市長選に続いて自公が推す候補が勝ち、今回で6連勝となった。一方で全県選挙については、7月の参院選沖縄選挙区、9月の県知事選のいずれも「オール沖縄」勢力の候補者が勝利している。10月23日には県都・那覇市の市長選が予定されており、“選挙イヤー市長選編”の最終章の行方に注目が高まる。

徳元氏、子育て世代への新施策が奏功

 徳元氏は重点施策として、公園整備、英語教育の充実、インフラ整備での収入増の3つを前面に掲げた。豊見城市は市民1人あたりの公園面積が少ないことから、県内最大級の室内型公園の整備・推進で子育てや憩いの場の充実を訴えた他、英語教育の充実で市民のキャリア選択肢を広げることや「稼ぐ力」の強化を目指すとした。また「豊見城市内の6割の土地が未利用地」だとして、市街化調整区域の見直しでスポーツ施設整備やセレモニー会館誘致などを約束していた。

 加えて、豊見城総合公園の「大改造計画」や、おむつやお尻拭きの定額使い放題など目新しい施策で、豊見城市に多い子育て世代からの支持を得た形だ。

 2018年の前回選挙では保守系候補が2氏立候補し、票割れした経緯もあったが、今回は従来の支持層を取りこぼさなかったことも大きな勝因とも言える。

山川氏、2期目への信任得られず

 事実上の一騎打ちを繰り広げた現職の山川氏は、小中学校の学校給食費無料や18歳までの医療費無料、補聴器購入費補助といった教育・福祉面での政策を中心に据え、選挙戦が迫る9月26日には、1999年から続いた豊見城村(当時)独自の財政非常事態宣言の解除を発表するなど財政面での実績もアピールしたが、2期目への信任を得ることができなかった。

 辻内氏は、現在の市政運営が市民不在で私物化されているものとして批判、完全無所属として市政刷新を掲げたが及ばなかった。

徳元次人氏
2011年に豊見城市議会議員に初当選。3期12年務めた後、市長選立候補に伴いことし8月に辞職。1881年、豊見城村(当時)出身。豊見城高校出身。


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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