オール沖縄、自民ともに体制の再構築迫られる ”選挙イヤー”2022年を経て…
- 2022/12/31
- 政治
2022年の沖縄はまさに”選挙イヤー”だった。市長選だけで7選挙が実施され、県知事選が行われた9月11日は史上初めて統一地方選の集中日と日程が重なり、県議補選も含めて30もの選挙が一斉に投開票された。
各選挙においては、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力対自公政権という枠組みが大きな対立構図となった。注目度の高い主要選挙では、全県選挙の県知事選と参議院議員選挙沖縄選挙区はオール沖縄の擁立候補が勝利し、7つの市長選は全て自公の推薦候補が当選。勢力を拡大したい各陣営にとって消化不良な結果となり、来年以降の選挙に向けていずれも体制の再構築を迫られているのが現状だ。
オール沖縄と自民双方の課題を探る。
翁長雄志氏の”遺産”は尽きたか オール沖縄
まずはオール沖縄。
1月の名護市、南城市、2月の石垣市、4月の沖縄市の各市長選で4連敗を喫していたが、7月の参院選では2期目を目指した伊波洋一氏が再選。史上最多の5人が立候補する中、元総務官僚の古謝玄太氏をわずか2,888票の僅差で退けた。
当選後、伊波氏は「辺野古新基地に『NO』という民意の勝利です」と強調したが、得票数は6年前に比べて8万票以上も失った。参政党、NHK党、幸福実現党から出馬したその他の3人が合計で約39,000票を獲得したことも結果に影響したと見られ、「民意」をクローズアップするにはいささか説得力に欠ける結果となり、オール沖縄の衰退を印象付けた。
それでも選挙イヤー天王山の県知事選は、現職の玉城デニー氏が4年前と同じく最有力の対立候補となった佐喜眞淳氏を64,923票差で圧勝。元人気ラジオパーソナリティという玉城氏個人の集票力の高さに加え、安倍晋三元首相の銃殺事件でクローズアップされた旧統一協会との関わりで佐喜眞氏が伸び悩んだことも追い風となった。
しかし、11月の県都・那覇市の市長選でオール沖縄を揺るがす事態が起きる。
那覇は翁長雄志前知事が市長時代にオール沖縄の源流をつくった地でもあり、全県選挙でもオール沖縄候補が強さを発揮してきたが、翁長氏の後任として2期8年市長を務めた保守中道を自認する現職の城間幹子氏がオール沖縄の左傾化を憂慮し、自公が推薦した前副市長の知念覚氏の支持を表明。翁長氏の次男である翁長雄治前県議を擁立したが、10,040票差で敗れた。
金秀グループやかりゆしグループなどの一部経済界に加え、翁長氏が残した最後の遺産とも言える”翁長ブランド”も失ったオール沖縄。従来の革新勢力とほぼ変わらない実態に対し、支持者からも「辺野古一辺倒ではもう無理がある」など一度解体する必要性を訴える声も漏れる。枠組みの再構築も含め、コロナ禍で大きなダメージを受けた県の基幹産業である観光業の立て直しや子どもの貧困など、多岐に渡る沖縄の課題に対してどう取り組むかが支持を広げる鍵になりそうだ。