オール沖縄、自民ともに体制の再構築迫られる ”選挙イヤー”2022年を経て…

 

”市民党”で戦った那覇市長選が光明となるか 自民

那覇市長選で初当選を果たし、城間幹子前市長(左)からバトンを受け取る知念覚氏=2022年10月23日、那覇市内

 一方の自民。全県選挙にも大きく影響する那覇市長選を含め、7つの市長選で全て勝利を収めた。

 名護市では辺野古移設を前提に国から交付される米軍再編交付金を主な財源に学校給食費、保育料、子ども医療費を無償化する政策を実施。沖縄市においても防衛省所管の再編推進事業補助金や内閣府所管の沖縄振興特定事業推進費補助金などを活用し、国内のスポーツ観戦施設としては最新鋭の設備を備えた沖縄アリーナが完成するなど、政府からの支援がソフト、ハードともに形になってきたことで、自公の推薦候補が強みを発揮していると言えそうだ。

 しかし全県選挙では連敗。元総務官僚というキャリアを持ち、30代の若手候補で勢いのあった古謝氏で参院選を勝ち切れず、県知事選は4年前にも大敗した佐喜眞氏を再び擁立して「勝てる候補」を立たせることができなかった。自民党県連では中川京貴県議が責任を取る形で会長を退き、仲田弘毅県議が後任に就く動きもあった。

相手候補に当確の報を受け、無念の表情を浮かべる古謝玄太氏(右)=7月10日、那覇市内

 ただ今後の全県選挙に向け、自民県連にとっては那覇市長選が光明となるかもしれない。この選挙においては、元々翁長雄志氏の側近だった知念氏を擁立したため、翁長県政で副知事を務めた安慶田光男氏や浦崎唯昭氏、かりゆしグループの平良朝敬会長らオール沖縄を離脱したメンバーが自民県連とは別に選挙事務所を設置。オール沖縄が立ち上がった当初と同じ手法を採用することで”市民党”的な立場を強調し、無党派層からの支持を集めた。

 辺野古移設問題が大きな争点となる全県選挙においても同様な手法は効果を発揮する可能性はありそうだ。12月には参院選で敗れた古謝氏が那覇市の副市長に就任。もともと政治家ではなく、まだ保守色が薄い古謝氏は4年後の県知事選候補としても既に名前が取り沙汰されており、認知度の向上を含めた選挙地盤固めとの見方もある。

 選挙イヤーを経て迎える2023年。大型選挙は一旦落ち着くが、オール沖縄、自民とも体制の変化や、全県選挙や市長選で擁立できる有力候補を模索する動きは水面化で続きそうだ。

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