沖縄県の玉城知事「極めて残念」 辺野古不承認訴訟で県敗訴確定

 
最高裁の判断を受けて記者会見する玉城デニー知事=4日、沖縄県庁

 米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり最高裁判所は4日、軟弱地盤が見つかったことによる工法の変更を認めるよう国が行った「是正指示」は違法だと県が主張してきた訴訟で、県の上告を退ける判断を下した。同訴訟で県の敗訴が確定したことを受け、玉城デニー知事は同日夕の会見で「公平・中立な判決を最後まで期待していただけに、極めて残念」と語った。

 沖縄防衛局は2020年4月、辺野古の大浦湾側で確認された軟弱地盤に対応するため工事方法の変更を申請し、県は21年11月に同申請を不承認とした。このため、軟弱地盤の埋め立ては進んでいない。

 一方、斉藤鉄夫国土交通相は22年4月、県の不承認処分を取り消す裁決を下し、申請を承認するよう「是正指示」も出した。

 県は、同相の判断は違法として訴訟を提起。法廷で争ってきたが、最高裁は8月24日に「裁決」をめぐる訴訟で県の上告を認めない判断を下している。

国による代執行の可能性

 今回、最高裁は判決の中で、「法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分を取り消す裁決がされた場合、都道府県知事は、上記裁決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をすべき義務を負う」とした。

 また「裁決がされたのに、都道府県知事が処分と同一の理由で申請を認める処分をしないことが許されるとすれば、紛争の迅速な解決が困難となる事態が生ずる」とも判示した。

 これに対し、県は「このような判決は、地方公共団体の主体的な判断を無にするもの。深く憂慮せざるを得ない」と批判している。

 最高裁が「是正指示」に関する訴訟で県の訴えを退けたことにより、県には工法の変更を認める義務が課されたことになる。県が認めない姿勢を続けると、国は代執行の手続きに入る可能性がある。

国と県による対立の行方は

 ただ、県が辺野古移設について反対し続ける中で、国が軟弱地盤の埋め立てを強行すれば、県が強く反発して国との対立が深まることも考えられる。

 玉城知事は、4日の会見で「辺野古新基地の断念を求める意思に変わりはない」と語った。今後の対応については「判決内容を踏まえ、検討していく」と述べるにとどめた。

 普天間飛行場の全面返還が決まったのは1996年。その後、中国の台頭で地域の軍事的緊張が高まったとされ、宮古・八重山への自衛隊配備も進んでいる。一方、県は地域の緊張を和らげようと、今年度から地域外交に力を入れる姿勢を見せている。

 辺野古をめぐる国と県の対立はどこへ向かうのか。国内だけでなく、周辺地域も注目しているかもしれない。双方の「次の一手」に関心が集まっている。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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