参院選22日公示 議席奪回へ自民幹部ら続々沖縄入りへ

 

 7月10日投開票の参議院議員選挙が22日、公示される。沖縄選挙区は現職の伊波洋一氏(70)と、自民党新顔で公明党が推薦する古謝玄太氏(38)の2人を中心に選挙戦が繰り広げられる見通しだ。自民党本部は沖縄を重点選挙区と位置付け、公示後も党幹部らを続々と沖縄に投入して玉城デニー知事(62)率いる「オール沖縄」勢力からの議席奪回に注力する。

岸田首相の沖縄入りも

 「今年選挙イヤーの沖縄で、名護市、南城市、石垣市、沖縄市と(市長選で)4連勝してきた。来週から始まる参議院選挙で古謝玄太の勝利につなげ、その勢いを秋の知事選の佐喜真淳の勝利につなげていく。こういった勝利の方程式をきちんとつないでいきたい」

 19日、沖縄入りして県内4カ所で街頭に立った自民党茂木敏充幹事長はこう強調した。

 自民党は2012年に政権を奪還し、13年、16年、19年の参院選で常に最多議席を確保してきた。ただ、1議席を競う沖縄選挙区ではこの間、一度も勝てず3連敗を喫している。知事選も14年、18年と連敗中で、今参院選で12年ぶりとなる沖縄選挙区での議席奪回を達成し、9月に控える知事選への強固な足がかりにしたい考えだ。

古謝玄太氏(左)と街頭で訴える茂木敏充自民党幹事長=19日

 22日の公示後、最初の週末には菅義偉前首相が古謝陣営の総決起大会に駆け付け、週明けには再び茂木氏が沖縄入りするほか、福田達夫党総務会長(55)や小泉進次郎衆院議員(41)の応援も予定される。7月初めには党総裁の岸田文雄首相(64)も遊説に入る方向で調整している。国政選挙の応援で首相が沖縄に入るのは、13年の参院選以来だ。

 茂木派、岸田派などの派閥に属する議員秘書のほか、党本部からも職員が沖縄に駐在してバックアップする。党関係者は手厚い布陣について「十分勝ちに行ける候補であるということと、それだけ知事選での県政奪還に向け参院選での勝利が至上命題となっているということ。全国的に野党の選挙協力が十分まとまらず自民の勝ちが予想され、沖縄に注力しやすい事情もある」と解説する。

辺野古「容認」を明言

 これまで自民党沖縄県連にとって、党本部からのテコ入れは諸刃の剣でもあった。特にそれは、辺野古移設問題の扱いを巡って象徴的に表面化した。例えば、国政選挙を超える強力な支援体制で臨んで敗れた18年の知事選について、県連はこう総括している。

「党本部(官邸)主導と言われた選挙方式で、辺野古移設問題を封印し、経済振興に特化した政策、訴えは、全国一景気が良いと言われる県内景気の前に効果がなく、情勢判断の誤り感が否めなかった」

 ただ、辺野古移設問題を巡る政治環境はこの数年で変化している。今参院選で、自民新顔の古謝氏は辺野古移設を「容認」すると公約に明記した。自民の擁立候補が「容認」スタンスを明確にし国政選挙に臨むのは初めてのことだ。前述の党関係者は「コロナによって傷んだ県経済をいかにして立て直すかも重大争点で、中央とのパイプなしには成し遂げられない」と話す。党本部の大物が続々と応援入りする背景には、こうした状況変化も影響している。

伊波氏は経済政策も訴え

 これらの動きに対して、現職の伊波氏側は玉城知事を中心に「オール沖縄」勢力の支援で再選を目指す。伊波氏は宜野湾市長や県議、そして参議院議員として1期目に170回以上国会で質問に立ったことなど長年の政治経験を前面に押し出す。

 訴えでは基地問題に加え、コロナからの県民生活回復や所得向上といった経済政策についても多くの時間を割いているのが特徴と言える。伊波氏の選挙関係者は「基地に詳しい伊波というイメージは十分浸透している。コロナ禍で、経済に関しても政策を語られる姿を見てもらうことが大切だ」と説明する。

伊波洋一氏(左)と街頭で訴える玉城デニー知事=18日

 18日に那覇市内であった総決起大会には玉城知事のほか、オール沖縄を支える国会議員や県議らが駆け付けた。マイクを握った玉城知事は辺野古には触れず、「県の経済をしっかりと立て直し、私たちの暮らしを支えていくために、国政で県民の声となって、しっかりと働いていただける伊波洋一さんが必要だ」などと強調して支援を呼び掛けた。

 自民かオール沖縄か。どちらにとっても、9月の知事選の行方を大きく左右することになる参院選が幕を開ける。

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