【沖縄県知事選】投票間近!候補者はどんな経済政策を訴えている?

 

 沖縄県知事選挙投開票日まで1週間を切り、各候補者が選挙戦で火花を散らしている。本土復帰50周年を迎えた沖縄県だが、これまでに山積していた政治・経済を巡る課題に、新型コロナウイルス感染症の拡大という未曾有の事態も重なり、県政運営で厳しい局面を迎える状況が続く。

 次の4年間の舵取りを担う知事を決める重要な今回の選挙では、どのようなことが争点となっているのか。今回はコロナ対応も含めた観光振興や、所得向上、県内企業への支援などの経済政策に着目して、立候補している元郵政民営化担当相で無所属新人の下地幹郎氏(61)、前宜野湾市長で無所属新人の佐喜眞淳氏(58)=自民、公明推薦=、2期目を目指す無所属現職の玉城デニー氏(62)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=(届け出順)の3者それぞれの訴えていることを見てみよう。

観光産業復興とコロナ対応は?

 新型コロナウイルスによる県経済への影響は甚大で、各候補とも経済政策を大きな柱の1つとして位置づけているのは共通している。沖縄の「リーディング産業」と位置づけられる観光産業への打撃はとりわけ大きく、この2年余りの間に蓄積し、そして現在進行で続いている課題に候補者がどう向き合うのかは、有権者にとって重要な判断材料となる。

 「国との決別」をキャッチフレーズにしている下地幹郎氏は、政府による沖縄振興予算を当てにしない形で沖縄の経済成長を図って「自立」を目指すことで独自色を打ち出している。観光振興では、沖縄経済自立を目指して税収を現在の倍にしなければならず、そのためには入域観光客数2,000万人を目指す必要があると訴える。その上で、観光と農水産業とをかけ合わせ、さらに製造業も加えることで「観光産業の好循環」を生み出せると述べている。

 コロナ対策については、航空機内での検査と入域時の証明発行、そしてPCR検査を24時間対応可能にすることも言明。さらに、航空会社への搭乗率補償によって沖縄離発着便の便数を確保することにも言及している。

 再選を目指す玉城デニー氏はコロナ対策と県経済の再生を念頭に「県民の命と暮らしを守る政策」に重点を置く。コロナ禍の影響を被っている県内事業者の事業継続と雇用維持の支援、医療体制の強化なども含めた「新しい生活様式」への対応を打ち出している。コロナ回復後には観光の質的向上を見据えた観光目的税を導入した上で、世界から選ばれる持続可能な観光地形成を目指している。

 コロナ対策では空港などでの水際対策強化と米軍人への日本の検疫法適用、そしてPCR検査の効果的な活用などを重視し、さらに保健所や衛生研究所、医療機関との連携強化、感染症情報の収集・分析を行う感染症研究センターの設置にも触れている。

 佐喜眞淳氏は、コロナ禍で打撃を受けた「観光関連産業に対する1千億円規模の支援」を標榜する。現県政が観光産業に対して行っている支援が「不十分」という観光業界からの不満を受け止める構えだ。「沖縄観光復興計画」を策定することで、観光収入のV字回復と世界水準の観光地形成の推進も主張。さらに、県庁に観光復興組織を立ち上げてウィズコロナへの戦略的な復興策を練るとも述べている。

 コロナについては、先ず市町村と連携した上でワクチン接種率の全国水準への引き上げを目指すことを強調。さらに医療体制の充実化を図り、医師・看護師の人材確保をすることで医療従事者の負担軽減にも取り組むとしている。

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