玉城沖縄県知事、初来県の松野官房長官に振興予算3000億円台を要望
- 2021/11/7
- 政治
松野博一官房長官が就任後初めて沖縄県を訪問し、6日には県庁で玉城デニー知事と会談した。玉城知事は、新たな沖縄振興特別措置法について適用期間を10年とすることや、沖縄振興予算で3000億円台を維持することなど13項目にわたる要請書を手渡した。大量に漂着している軽石への対策でも支援を求めた。
今年度は、沖縄が日本に復帰した1972年度以来行われてきた沖縄振興計画で、現行計画にあたる「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の最終年度となる。沖縄振興予算をめぐっても、2013年に当時の安倍晋三首相が3000億円台を8年間維持すると表明した最後の年度で、重要な節目と言える。
会談で、玉城知事は松野長官に対し、現状の高率補助制度や沖縄振興交付金、沖縄関係税制など特別措置の拡充、新たな振興計画期間における沖縄振興予算3000億円台の維持を求めた。
また、沖縄振興開発金融公庫の継続と機能強化や、振興策に関する国と県の「協議の場」、新型コロナウイルス感染症の再拡大防止と経済回復に対する国の支援も依頼した。
辺野古移設をめぐる議論は平行線
会談で、玉城知事は米軍普天間飛行場の辺野古移設について提供手続きの完了まで約12年を要するとして「普天間飛行場の1日も早い危険性の除去につながらない」と指摘し、工事を中止も要請した。
これに対し、松野長官は日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去の必要性を踏まえ「辺野古移設が唯一の解決策だ」と語ったほか、着実に工事を進めていくことが同飛行場の早期全面返還を実現し、危険性除去につながるとの政府見解を改めて述べた。
松野長官は会談後、記者団に対し、自身が兼務する沖縄基地負担軽減大臣として「丁寧な説明と、対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、米側とは粘り強く協議を重ね沖縄の基地負担を軽減するため全力を尽くす」と強調した。
また、基地問題と具体的な振興予算の額は直接関連していないと認識しているとしながらも「両方の課題を全体として、総合的に推進するべきという意味において両者は関連している」との認識を示した。
首里城なども視察
松野長官は5日から2日間の日程で来沖。5日には、糸満市摩文仁の国立戦没者墓苑を訪れ献花したほか、平和の礎も視察した。6日には、首里城、普天間飛行場や西普天間住宅地区跡地などを視察したほか、名護市長や久辺3区長、宜野湾市長とも相次いで面談した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)