なぜ浦添市はワクチン増配を強く求める?鍵は「沖縄県の計算式」

 

 「浦添市民のみが置き去りにされていることを実感する」―。沖縄県から県内各市町村へと配分される新型コロナウイルスのワクチンを巡り、浦添市議会が8月20日に可決した玉城デニー知事宛ての意見書にある文言だ。同12日には、松本哲治市長が玉城デニー県知事にワクチン増配を求める要望書を提出した。なぜ浦添市は強くワクチン増配を求めているのか。松本市長に話を聞いた。

ワクチン量が県全体で増、浦添市は減

 「浦添市医師会も保健センターも市の担当課の職員も、みんな驚いてひっくり返ったんですから」と松本市長。国から県を経て市町村に配分されるワクチンについて、8月16日から2週間(第12クール)と比べて、8月30日からの2週間分(第13クール)の配分計画では、県全体として106箱から142箱と大幅な増配を国から受けたものの、浦添市への配分については8箱から7箱へと減少したからだ。

 国から都道府県への配分枠は国が決めるが、県から市町村への配分は県が決める。すでにワクチン配分が完了し、必要分が確保できている小規模な町村は別にして、まだまだ県内ではワクチンの配分を各市町村が手を伸ばして求めている状況だ。

 県内の人口上位5市で、第12クールから第13クールの配分箱数を比較した場合、那覇市は19⇒35、沖縄市は10⇒20、うるま市は9⇒19、浦添市が8⇒7、宜野湾市は7⇒9と、浦添市だけが減少している。

人口上位5市分。沖縄県の資料より作成

 松本市長は「9月から市医師会などと連携してワクチン接種を促すキャンペーンも大きくやるつもりでしたが、叶わなくなりました」と目を伏せる。
 「各市町村の地域事情を勘案して、配分箱数のアップ率に差があることは当然理解できますが、浦添市はマイナスです。こんなに感染爆発している沖縄県で、浦添市だけが今より接種ペースを落としていい理由はあるのでしょうか」
 県は浦添市に対して、第14クール以降は8箱に数を戻して配分する計画ではあるものの「半月間の足止めがされた」(松本市長)格好だ。

 県内市部では他に、石垣市が2から0、南城市が4⇒2と減少しているが、石垣市は必要量の配分が完了したためで、南城市の担当者も、今回の減少が接種計画に即ち影響を与えるものではないと説明している。

沖縄県が「公正」に実施した計算式では

 沖縄県が各市町村に配分するワクチン量は、定められた計算式に基づいている。

 各市町村の「ワクチン必要数」から「すでに配分が済んだ数」「沖縄県の広域接種会場での接種見込み」「医療従事者接種実績」などを引いて算出した「市町村接種見込数」に応じて配分する。

「市町村接種見込数」=(「ワクチン必要数対象人口」×2×0.8)-(「配分済み量」+「市町村間融通量」+「広域接種会場接種見込み」+「クルーズターミナル接種見込み」+「医療従事者ワクチン接種実績」+「住所地外接種実績」)

 これらのことから、報道によると県は「市町村に対しては公平に配分している」とのスタンスを取っている。

 しかし、この計算式を忠実にかつ「公平に」実行していったことにこそ、今回浦添市が感じる「不公平」を生む原因があるという。どういうことか。

接種券配布の早さが原因

 浦添市が、隣接する那覇市と宜野湾市に先駆けて6月末の段階で市民全員に接種券を発送し終えていたことが仇となったことに、松本市長は言及する。

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