新型コロナ、感染収束の見通し立たず 

 
医療関係者で構成する専門家会議では、感染拡大に対する危機感が示された=23日夜、県庁

 沖縄県は23、24日の両日、新型コロナウイルス対策を議論するため、医療関係者で構成する専門家会議と、経済団体が参加する経済対策関係団体会議を相次いで開催した。専門家会議で感染拡大への危機感が表明される一方、経済対策関係団体会議では出口戦略を議論する専門部会の設置を決めるなど、感染対策と経済の両立を目指す県の姿勢が示された。

 県内での新規感染者数は、24日も火曜日で過去最多を更新する750人となるなど、短期的に感染収束の見通しが立たない状況が続いている。専門家会議では、出席者から県内では医療崩壊に入っているという声も出た。

 また、入院者の増加を受けて「私たちの社会は『命の選別』をする状況を経験したことがない。これから入るかも知れない状況は、ガイドラインなどが、ほぼ存在しない。命の選別を現場がしなければならなくなった場合、それを彼らに担わせるのが心苦しい。これをどうするかがとても大事だ」との悲痛な声もあがった。

 専門家会議は、夏休み後の学校再開を容認する方針を示したが、藤田次郎座長は「(沖縄本島では)かつて経験したことのない数の方が入院している。社会全体の感染が子供たちにも影響する」とも強調した。

 9月12日までが期限となっている緊急事態宣言について、藤田座長は「この感染症は治るまで時間がかかる。現状で、1日仮に500人の患者が出ているときに緊急事態宣言を解除するのはあり得ない」と語った。

出口戦略を議論する専門部会設置へ

経済対策関係団体会議で県の方針を説明する照屋義実副知事=24日、県庁

 経済対策関係団体会議には17団体がオンラインで参加し、照屋義実副知事が県の方針などを説明した。会議では、新型コロナウイルスの収束後を見据え、新たに「経済再生出口戦略専門部会」の設置を決めた。

 同部会は、団体会議のメンバーから、経営者協会、商工会議所連合会、商工会連合会、工業連合会、沖縄経済同友会、沖縄観光コンベンションビューロー、JA中央会の7団体と、県から商工労働部と文化観光スポーツ部が参加する。

 24日の会議では、石垣市が独自で進める「新型コロナウイルスワクチン接種証明書」(ワクチンパスポート)などの創設を含めて、ワクチン接種を生かした経済対策への要望があったという。

 また、感染状況が落ち着いた際の対策として、県が定める感染防止対策の基準を満たしている店舗として認証を受けた店や、ワクチン接種者に対する特典を明示する必要があるとの意見も出た。

 県内では、1人の陽性者が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が沖縄本島で1.08と、前週から0.04ポイント低下したものの、引き続き感染が減少に転ずる「1を下回る状況」にはなっていない。緊急事態宣言が解除される見通しが立たない中で、医療界、経済界の苦闘が続いている。

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