【那覇市長選】城間市長が”ゲームチェンジャー”となるか 翁長氏、知念氏による「身内対決」

 
那覇市長選の選挙掲示板。翁長雄治氏のポスターに玉城デニー知事、知念覚氏のポスターに城間幹子市長の写真が載り、いずれも「応援しています」の一言が添えられている=那覇市内

 23日に投開票される那覇市長選。届出順に無所属新人で「オール沖縄」勢力が支援する前県議の翁長雄治氏(35)=共産、立民、社大、社民、れいわ、にぬふぁぶし推薦=と、無所属新人で政権与党が推す前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=が一騎討ちを繰り広げている。自民県連幹事長を経て「オール沖縄」を構築した前市長の故・翁長雄志氏(前知事)から見て、翁長氏は次男、知念氏は市長時代の側近だったため、「身内対決」と称される。

 2人が最終的に出馬を決めたのは8月下旬。知名度の差や、翁長氏の選対本部長を務める玉城デニー氏が9月11日の知事選において自公が推す佐喜眞淳氏に那覇市の得票で約2万4千票の大差を付けたことから、翁長氏優位との見方が多かった。しかし、16日の市長選告示の直前に”ゲームチェンジャー”が現れた。8年前に雄志氏の後を継ぎ、オール沖縄の一翼を担ってきた現職の城間幹子市長(71)だ。

オール沖縄と”決別”「雄志氏の考えが薄れていった」

知念覚氏(左)の支持を決断し、後援会事務所を訪れた城間幹子氏=10月12日夕、那覇市おもろまち(宮古毎日新聞提供)

 告示を4日後に控えた12日夕、城間氏の姿は那覇市おもろまちにある知念氏の後援会事務所にあった。陣営から盛大な拍手で迎え入れられ、知念氏とハイタッチ。雄志前知事の県政下で、いずれも副知事を務めた浦崎唯昭氏や安慶田光男氏、かりゆしグループの平良朝敬会長ら保守系のオール沖縄”創設メンバー”が見守る中、「必勝」の為書きを知念氏に手渡し、報道陣を前に言った。

 「『雄志さんも喜んでるよ』と知念さんに言って、少しウルっときました。最終までいろいろ考えたんですが、翁長雄志から『覚を頼む』と言われ、副市長に据えて8年間ともに市政運営をしてきた。私が種をまき、芽を出して進んでいる事業を理解して進めてくれるんではないかと思っています」

 「オール沖縄は辺野古新基地建設反対というところで、腹八分、腹六分で集まった。翁長雄志さんがオール沖縄を形成して出発した、あの時に戻りたい」

 両陣営が「現職の後継」というお墨付きを求めて秋波を送る中、板挟みとなった城間氏は最後まで態度を表明しないという見立てもあったが、最終的な決断を後押しした最大の要因は、オール沖縄の体制の変化を城間氏が強く感じ取っていたことだった。

 14日時点では「(選挙戦では)街頭に立ちません」と明言した城間氏だが、16日の告示日には早速出陣式で街頭に立ち、マイクを握った。応援演説後には、報道陣の取材に対して「右からも左からもオール沖縄でやりたいと思っていた翁長雄志氏の考えが薄れていった」とオール沖縄に対する不満を語った。

 5月の引退会見では「自公政権か、あるいはオール沖縄か。じゃあここ(間)にいる人はどちらか決めないといけないのか」と述べ、対立構図が明確な辺野古移設問題と市政運営を切り離すべきと主張していた城間氏。「保守中道」として辺野古移設に反対する姿勢に変化はないというが、経済界や保守系のメンバーが離れ、革新色が強まったとされるオール沖縄の変化を肌で感じ、ついに決別した。

 陣営は現職の後継となったことで知念氏の知名度不足を補えると見ている。告示直前の土壇場でオール沖縄勢力の中心人物を引き込み、「イデオロギーを超越できる」と”市民党”的な立場を強調。一部の革新票や浮動票の取り込みも見据える。

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