「沖縄の特例措置、恒久化も」 沖縄県の玉城知事新春インタビュー
- 2024/1/1
- 政治
2024年を迎えるに当たり、沖縄県の玉城デニー知事は報道各社のインタビューに応じた。
特例措置、立法化を含めた恒久化も
ー沖縄振興策について
地理的事情などの特殊事情から、沖縄には特別な措置を講ずることとされている。そのため、税制などの各制度や沖縄振興計画は、これらの課題が解消されるまでの間は当然、継続される必要がある。例えば、揮発油税の軽減措置は、離島での生活を安定させることにしっかり貢献している。
物価やエネルギーの高騰で離島がさらなる害を被ってはならない。税制の軽減措置として立法措置を含めた恒久化を図ることも重要な視点だ。
ー観光振興について
沖縄を訪れる観光客数は、コロナ前の水準まで回復を見せている。インバウンドも、航空路線の復便やクルーズ船の寄港再開で、段階的に回復してきている。2023年度上半期の観光収入も、4137億円(速報値)となるなど、コロナ前の19年度と同程度まで回復してきた。
観光業界から強い声として上がっている人手不足への対策としては、国内外からの人材確保に取り組むほか、域内での人材育成も観光関連団体などと連携しながら行っていく。
持続可能な観光、サステナブルなツーリズムの推進や、付加価値の高い需要に対応するための施策を展開してきたい。沖縄観光の回復基調に、しっかりフォーカスした取り組みが充実できるよう(施策を)進めていく。
ー2025年、沖縄北部に開業予定のテーマパーク、「ジャングリア」について
非常に国内外からも高い関心が寄せられてるほか、すでにさまざまな投資を確保できているということも含めて、一応に沖縄県におけるテーマパークの先進的な形として多くの期待が寄せられるだろうと思う。
美ら海水族館とジャングリアが、北部の振興に大きく寄与する取り組みになるだろうという期待感が高まっている。他方、地域の物流や生活についての影響は、本当に最小限に抑えなければならない。県独自で取り組むことも非常に重要ではあるが、国や市町村と連携をして取り組むということも当然、必要になってくる。
辞任せず、公約実現に全力
ー辺野古移設をめぐり、福岡高等裁判所那覇支部では、設計変更を承認するよう県に求める判決が出ました
判決では、国と県との対話を通じた抜本的な解決に触れながらも、判断には何ら反映させていない。「辺野古新基地」を進めようとする国側の公益に偏って判断している。
地方分権改革の趣旨や地方自治の本旨、多くの沖縄県民の民意という真の公益を顧みなかったことは、司法が自ら「辺野古が唯一」という固定観念に陥ったものと言わざるを得ない。県は、昨年12月27日に上告した。
ー改めて民意を問うため、一度辞任して選挙に臨む考えは
県民の負託を受けた知事として民意に応え、公約の実現に向けて全力で取り組む姿勢で進めたいということに変わりはない。県知事としての姿勢を、しっかりまい進していく。
そのような様々な社会の声に対しても真摯に耳を傾けて、自分の公務に対する信頼につなげげていけるように、努力を重ねたい。
ー辺野古移設阻止は堅持するのか
代執行がされたら、県に手だてがなくなるというわけではない。(工事の期間中は改めての)設計変更の申請など、行政的な手続きは国も取らざるを得ないと思う。
これから先、(辺野古は)難工事であることは否定できない。どういうことを(県が)行うかは、状況次第だと思う。県民の「辺野古新基地建設反対」という思いは、みじんもぶれることはない。
「沖縄にこれ以上、過重な基地負担を負わせてはいけない」という県民の声は、止むことはないと思う。
自衛隊の南西シフトでは住民に説明を
ー自衛隊の南西シフトについて
自衛隊は我が国の防衛任務に加え、多くの離島を抱える沖縄では、緊急患者の空輸や、災害救助など県民の生命財産を守るため大きな貢献をしている。
他方、米軍基地が集中していることに加え、自衛隊の急激な配備の拡張による抑止力の強化がかえって周辺地域の緊張を高め、不測の事態が生ずることは絶対にあってはならない。
政府は、ややもするとスケジュールありきで推し進めようという姿勢が垣間見えることも否定できない。まず事前に十分な説明をし、その計画を進めている中でも、説明を求められたら、住民説明会を開催するという姿勢もしっかりと示していくべきだ。
ー地域外交について
平和の発信を強化し、「平和の緩衝地帯」の形成を目指していきたい。経済文化などの交流を促進し、JICAなどの関係機関とも十分連携をして、国際協力や国際貢献に引き続き取り組んでいきたい。
地域外交室を課に昇格して、既存の主にアジアに配置している海外事務所や、ワシントン事務所なども活用して、更なる地域外交を展開していきたい。
県議選では積極的に投票を
ー今年は県議選も予定されています
昨年、自民党などから問責決議が出されたということは、「今一度、気を引き締めて県政運営に臨むべし」という、厳しいお叱りだと受け止めている。県政の信頼回復のために、全身全霊で県政の発展、県民福祉の向上に取り組む。
県政を運営する点では、県議会で多数与党を形成してほしいとは願っている。選挙は、自分自身の意見を政治に反映させる大切な機会。候補者の方々の政策を聞き、積極的に投票権を行使してほしい。
(記事・写真 宮古毎日新聞)