沖縄の景気「拡大基調」維持 日銀那覇支店12月「観光と個人消費が好調」

 
2023年12月の県内金融経済概況について説明する日本銀行那覇支店の小島亮太支店長=20日、日本銀行那覇支店

 日銀那覇支店(小島亮太支店長)は20日、2023年12月の県内金融経済概況(主要指数は10月)を発表し、景気判断について、前月の「拡大基調にある」との判断を維持した。小島支店長は「沖縄の主要産業である観光と個人消費がいずれも好調に推移している」と述べた。

 個別項目は、個人消費の「緩やかに増加している」、観光の「拡大基調にある」などで判断を維持する一方、住宅投資と雇用・所得情勢では判断を引き上げた。

 個人消費では、百貨店やスーパーの販売額(全店舗)は前年比プラス8.9%の増加。小売り各社が開催する催しや学校行事などによるイベント消費が盛況で、食料品でも通常より高価な物を買い求める傾向が続いている。

 先行きについても、コロナ下で消費が抑えられたことによる資金が全体的にまだ残っており、引き続きペントアップ需要が期待できるとした。

 観光では、入域観光客数が前年比でプラス25.0%となった。10月以降、国内客においては修学旅行や募集型ツアーなどの団体客が目立って増加した。

 主要ホテル客室稼働率は10月は69.6%、11月(速報値)は63.0%だった。昨年は、全国旅行支援によって需要が大きく喚起されていたが、今年は同支援の後押しがない中で、一定の稼働率を確保しているという。同支店は、観光需要そのものの強さが反映していると評価した。

 住宅投資では、前月の「下げ止まっている」から「底堅く推移している」へ判断を引き上げた。新設住宅着工戸数が貸家を中心に前年比プラス15.3%となり、6月から5カ月連続で前年を上回った。

 判断引き上げの背景としては、貸家で▽家族向けなど広めの物件の供給が緩やかに増加▽投資利回りの悪化に歯止めがかかっている―などと説明した。

 さらに、雇用・所得情勢では「緩やかに改善している」とし、判断を上昇修正。雇用情勢が改善傾向であることに加え、所得や賃金の面でも改善の動きがはっきりと見られ始めていると説明した。

 小島支店長は「従業員の賃上げ分を確保するために、製品価格を上げるなどの話も聞く。そうなれば、賃金・物価の好循環に向けた変化の芽が沖縄でも見られるようになる」と指摘した。

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