攻撃力の向上実感、女子ハンドのザ・テラスホテルズ 新リーグ申請見送りの受け止めは…

 
味方が得点し、立ち上がってガッツポーズや拍手を送るザ・テラスホテルズのメンバー=10月15日、名護市の21世紀の森体育館(長嶺真輝撮影)

 日本ハンドボールリーグ(JHL)女子に参入2年目のザ・テラスホテルズ「ラ・ティーダ」。今月1日の8位(20日時点)の飛騨高山ブラックブルズ岐阜との今季第6戦を27-26で接戦を制し、チーム創設以来、初めてホームで白星を飾った。続く15日には4位(同)イズミメイプルレッズと第7戦を行い、26-33で敗北。通算1勝6敗で最下位と低迷が続くが、今季はパスワークや速攻を武器に得点力が向上し、チームも「昨季は20点を取ることもできない試合が多かったけど、徐々にクリアできてきている」(中山朋華主将)と成長を実感している。

 一方、2024年9月に開幕を予定する新リーグを巡って、球団は今夏、8月末が締め切りとなっていた参入審査申請を財務状況やチームの知名度などを考慮して見送った。選手からは「チームがなくなってしまうんじゃないか」など不安の声も聞かれるが、東長濱秀作監督は参入を諦めていない。「自分たちにできることは試合で結果を残すこと。ちゃんと評価してもらって、まわりに参入を後押ししてもらえる状況をつくりたい」と意気込む。

GK桑原が好セーブ連発

体いっぱいを使ってシュートを防ぐGK桑原美紗季

 15日、ホームコートである名護市の21世紀の森体育館。球団創設以来初の連勝を懸けたイズミメイプルレッズとの一戦は、上地涼奈が7メートルスローを決め、テラスホテルズが先制して幕を開けた。

 しかし、パスミスやオーバーステップなど相次ぐミスで波に乗れず、すぐに先行を許す展開に。それでもこの日が誕生日だった身長156センチの小柄なGK桑原美紗季が体いっぱいを使って好セーブを連発。「映像を見ながら分析して、選手ごとに『この人ならこのタイミング』と頭に入れて挑みました」と1対1で何度もシュートを跳ね返し、食らい付いていった。

前半最終盤のミス、勝負の分かれ目に

 前半残り25秒、勝負所が訪れる。自軍ボールで、追う差は4点。ここで東長濱監督が1試合で3回取れるタイムアウトのうち、早くも2回目を請求した。「あのタイミングでの2回目は結構ギャンブルでもあったんですけど、どうにか差を3点にしたいということと、5点に広げられたくない、という思いを込めて取りました」という。

 しかし、思惑は外れる。プレー再開後、すぐに簡単なミスでボールを失い、前半終了間際に失点して5点差で折り返した。後半開始直後にもすぐに失点して差を広げられ、「ゲームプランがしんどくなってしまった」(東長濱監督)

ボールにプレッシャーをかける中山朋華主将(右から2人目)ら

 7人攻撃も使って差を縮める場面もあったが、中山主将が「相手の左45度にロングシューターが入った時に3枚目のディフェンスが早めに出てシュートを防ごう、という約束事を持って後半に入ったけど、そこが最後まで修正しきれなかった」と振り返る通り、外角を中心に失点を重ね、逃げ切られた。

 前の試合で決勝点を決めた上地は「ホームで初めて勝った前回の試合はチームとしてモチベーションの上がる試合で、それをいかに2勝目につなげられるかが課題だったけど、自分達の力を100%出し切れなかった。前の試合で見せた粘りを見せられなかったです」と声を落とした。

全試合で20点以上を記録 昨季は平均約18点

180センチの高身長を生かして外角からシュートを放つ藤岡美希

 初の連勝とはいかなかったが、参入1年目だった昨季に比べて攻撃力が増していることは間違いない。この日は樋口怜於奈が7得点、上地が4得点、木下真歩と中山がそれぞれ3得点を挙げた。中山主将は「今日はなかなか強みを発揮できてなかったけど、自分達の持ち味であるセットディフェンスからの速攻は徐々に良くなってきています」と手応えを語る。

 オフェンスの改善は数字にも表れている。昨シーズンは平均得点が約18点だったのに対し、今季は20点未満の試合は一度もない。

 攻撃の司令塔を務める上地も好感触を感じている。今月テラスホテルズのメンバー主体で出場した栃木国体成年女子で、これまで最高11点しか奪えなかったリーグトップの北國銀行(石川県)から23得点を挙げたことを例に挙げ、「上位からも得点が取れるということは自分達の中でも分かってきている。それを毎試合、安定して出せるかどうかが課題です」とさらなる向上を見据える。

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