30年ぶりに糸満市にプロ野球がやってきた!

 
真ん中(黒ユニフォーム)井口資仁監督、左隣が當銘真栄糸満市長

 白と黒で彩られた200本以上ののぼりが立ち並ぶ西崎運動公園。およそ30年ぶりに糸満市でプロ野球球団が第2次キャンプを行っている。市役所や商工会など地元が一丸となって歓迎する様子を取材した。

「一気にはできないので徐々に改善していく」

 2月11日。三連休にもかかわらず、市役所職員やコロナ禍で仕事が激減した観光バス従業員なども加わり、運動公園内野球場で汗だくになって作業を進めていた。コロナ対策の観客導線作り、高圧洗浄機での外観洗浄、錆びた柵のペンキ塗り、そしてブルペンもメジャー仕様へと急ピッチで修繕し、千葉ロッテマリーンズを迎える準備に余念がない。

観光バス従業員も参加、ペンキを塗って美観をよくします

 実は糸満市では1989年から92年にかけて当時のオリックス・ブレーブスがキャンプをしていた。当時、沖縄本島の南部にプロ野球球団がくることがなかったため、多くの市民が歓迎した。その時も誘致に関わった、糸満市企画開発部観光スポーツ振興課の新垣行則課長はこう話す。

 「ロッテは以前から本島に2次キャンプをはりたいと県内を視察していて、昔オリックスがキャンプをした実績のある糸満市が候補地に挙げられていたんです。もともとアマチュアスポーツの為の施設で、体育館や陸上競技場などが凝縮されていますし、野球場など老朽化しているので修繕しましょうというところでちょうどタイミングが合った。その上で、球団からの要望として、防球ネットを高くするとか屋内練習場が必要という条件があって、お互い歩み寄って成長させていきましょうと、昨年4月に交渉が始まり11月にまとまりました。ただ、予算も必要ですし、一気にはできないので徐々に改善していく予定です」

前回誘致した時のセレモニー風景

 30年前ともあれば、運動公園の周囲に国道も遊具などもなく、ボールが野球場の外に飛んでも大丈夫だった。

「今はそうはいきません。協力会も立ち上げてみんなで選手たちが練習しやすい環境を造り上げていきます」。新垣課長は日焼けした顔で意気込みを話した。

休日返上でのぼりを立てる糸満市職員のみなさん

「糸満は空港から近いし、宿泊もできる」

 およそ30年前にオリックスが糸満市でキャンプをした時にチームのメンバーだった石嶺和彦さん(現・エナジック公式野球部監督)は、当時を振り返り、こう期待を寄せる。

 「オリックスは最初、野手半分で行っていて、その後全員でキャンプを張った。エアードームを作ってくれたけど台風か何かで駄目になって。屋内練習場がないのはこの時期つらいもんね。糸満は空港から近いし、宿泊もできるから最高だね。エナジックも元年に糸満の施設を使わせてもらっていたはず。糸満のみなさんに頑張ってもらいたいですね」

こどもたちに野球教室をする石嶺和彦さん

 準備している最中、休日にもかかわらず當銘真栄市長がひょっこり顔をのぞかせた。「いや〜気になって気になって・・・」と心配しながらもとても嬉しそうである。

「実はこの野球場のこけら落としが、糸満高校と沖縄水産高校の試合だったんですよ。そのとき、僕は糸満高校野球部だったんで・・・」

 なんと、エースでキャプテンだったそうだ。「でもね、その前の沖水との試合で太ももの裏が切れちゃって。僕は入院中だったから出場していないんだけどね」。そう笑い飛ばした。

「だから感慨深いんですよ。今回の誘致は喉から手が出るほど来て欲しい話だったので感激。最初が肝心なので、球団や選手たちによかったと思ってもらえるように準備したい」

長く継続してもらえるように

 16日、早朝から歓迎セレモニーを行い、合同練習が始まると、市役所の観光スポーツ振興課、都市計画課、企画開発部の職員とアルバイトスタッフ30人以上で観客を迎えた。

 昨年、千葉県から沖縄に移住したという野元玲子さん(37)は、1才になる娘の海花ちゃんを連れて来場した。

「昔からロッテの応援が好きで、よく千葉マリンスタジアムに行っていたんです。ロッテが糸満に来ると聞いてやった!!ってテンションが上がりました。毎年来てくれたら嬉しい」。そう目を輝かせた。

千葉から沖縄に移住したばかりの野元さん親子

「糸満市民みんなを巻き込んでロッテファンになって応援したい。コロナ禍で交流は難しいが、どうかこれからも夢を与えて欲しい」と球団にお願いしたという當銘市長は、こう話す。

「今後、高い防球ネットを作れば、しっかり打撃練習もでき練習試合もできるようになる。人が集まれば経済効果もある。糸満市には宿泊施設もあるし今年の夏には新しいホテルもできるので、球団だけでなく観光客も多く受け入れられる。長くキャンプを継続してもらえるように全力で努力していきたい」

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