沖縄SV、2連敗も攻撃にリズム 若手活躍し何度もゴール迫る

 
前半、厳しいマークを受けながらボールを前線に運ぶ沖縄SVの冨久田和真(右)=4月30日、南風原町黄金森公園陸上競技場(長嶺真輝撮影)

 サッカー日本フットボールリーグ(JFL)の沖縄SVは4月30日、南風原町の黄金森公園陸上競技場で今季第6戦を行い、3位のソニー仙台FCに0ー1で敗れて2連敗となった。1勝5敗の勝ち点3で、順位は暫定14位のまま。初参戦のJFLで厳しい戦いが続くが、今ホーム戦は中盤の冨久田和真ら若手が躍動していい形の攻撃が何度も見られ、5月14日にアウェーである次戦に向けて期待が持てる内容となった。

佐田や冨久田が起点に 両サイドも躍動

ゴール前の競り合いからシュートを放つ佐田正舟

 先発出場した髙原直泰選手兼監督が「少しスタメンを入れ替えて、今チームでやろうとしていることを理解し、クリアになっている選手を使ってみようと思って臨んだ」と振り返ったこの試合。まだメンバー構成が馴染んでいなかったためか、スタートから攻守とも連動性が上がらず、なかなか流れがつかめない状態が続いた。

 すると前半26分、守備網の中央に鋭いグラウンダーのパスを通され、フリーのシュートを打たれて仙台に先制点を許す。前の試合ではここから後半にさらに2失点して0ー3で完敗したが、今回は違った。

 時間が経過するにつれ、やりたい戦術についてチーム全体の共通認識が徐々に深まっていく。23歳の佐田正舟や22歳の富久田らが中盤の起点となり、いいタイミングで両サイドの大城佑斗と儀保幸英が前線に駆け上がって何度もクロスを放り込んだ。試合終了のホイッスルが鳴る直前も右のコーナーキックからゴール前で競り合い、見せ場をつくった。

 攻撃のリズムが守りにも好循環を生み、球際の激しさを貫いて最小失点に抑えた。

髙原「次に繋がる部分があった」

コーナーキックからの得点を狙う髙原直泰(10番)ら沖縄SVの選手たち

 試合後、髙原は失点シーンについて「ボールを保持している時間帯にそれぞれがポジショニングをあまり理解できず、全体としてリンクしていなかった。チームとして対策をしないといけない」と反省を口にしたが、後半は「いい形で入れて、特に攻撃ではいい連動やプレーが随所に現れた」と手応えを語った。

 チームとして「前に行く意識」を前面に出すため、練習時から柔軟な発想で好プレーを見せていた冨久田や佐田らフレッシュな選手を入れたり、選手のポジションを変更したりと選手起用に頭をひねらせているという。「勝ち点が取れないのはチームとしては苦しいといえば苦しいが、次に繋がる部分が今日の試合にはあった」と前向きに語った。

 普段はチームに対して厳しい批評が多い髙原だが、この日は珍しく高評価な言葉が多く聞かれた。それだけチームの状態に手応えを感じているということだろう。5月7日に沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムである、J3のFC琉球と対戦するタイムス杯第28回沖縄県選手権(天皇杯予選)決勝、そして14日に暫定15位のブリオベッカ浦安と戦うJFLアウェー戦に注目したい。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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