スレイ、阿部の得点でFC琉球が劇的逆転勝利! 負傷者続出を乗り越えられるか

 

 サッカーJ3で15位のFC琉球は8日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで今季第17戦を行い、6位の松本山雅FCに2ー1(前半0ー1、後半2ー0)で勝利した。試合開始直後に失点して苦しい展開となったが、試合終了間際に今季初出場のサダム・スレイと阿部拓馬のFWコンビが立て続けに得点を挙げ、劇的な逆転勝利を飾った。

 2連勝で通算成績は7勝8敗2分となり、勝ち点は23。順位を一気に暫定11位まで上げた。次戦は15日にアウェーで暫定1位のカターレ富山と対戦する。

阿部、2得点に絡む圧巻の活躍

 試合開始2分、いきなり試合が動く。センターライン付近でボールを奪われた琉球は右サイドでディフェンスラインの裏を突かれ、クロスに合わされて早くも先制点を許した。その後はパスをつなぐ攻撃的なサッカーで攻勢を強めたが、ゴールを割れずそのまま1点ビハインドで前半を折り返した。

 後半に入ってからもなかなか同点に追い付けないもどかしい展開が続いたが、後半39分、遂にスタジアムが大歓声に沸く瞬間が訪れる。

 GK田口潤人からのゴールキックが大きくワンバウンドし、それを背後から受ける形で絶妙なトラップをした阿部が中央へ切り込む。3人のディフェンダーを引き付け、ペナルティエリア内の右サイドを駆け上がってきたMF平松昇へ。倒れながらグラウンダーのクロスを上げ、弾かれたこぼれ球にスレイが反応。落ち着いてゴール右に流し込んだ。

 重い雰囲気が一変し、体力的に厳しい終盤にも関わらずスピード感が増した琉球。さらに後半45分、MF富所悠がフリーキックで右サイドから長いクロスを送ると、相手ディフェンスラインの裏に抜け出した阿部が倒れ込みながら左足で押し込み、土壇場で勝ち越しに成功した。そのまま試合が終了し、スタジアムは歓喜に包まれた。

主将の野田、ケルヴィンの負傷を発表

 喜名哲裕監督は、開始直後に失点について「集中して入ろうという中で開始2分で失点しているところでゲームを難しくした印象です」と振り返ったが、その後のプレーは「自分たちのスタイルを崩さずにチャンスも作れましたし、松本さんの守備の強さ、強度の高さもあり前半は点を取ることはできませんでしたが形としては悪くはなかったと思います」と評価した。

 前半を終えた後は「明確にまずは1点を取ること、そして1点を取った後、2点目を取るチャンスがくるのでそこをしっかり狙おう」と選手たちに話し、後半に入った。その後の戦い方は「負けている場面でも慌てて前に出るのではなく、松本の選手を動かして自分たちのリズムを作りながらゴールに向かうという共通理解を最後まで意識しながらやれたと思います」と語り、逆転で白星を呼び込んだ選手たちを讃えた。

 これでチームは2連勝となったが、琉球は9日、野田隆之介主将とケルヴィンの2人のFWが負傷したことを発表。いずれも右ハムストリングスの肉離れで、野田は約3週間、ケルヴィンは約6週間の治療を要する。リーグ戦が中盤戦に入ってくる中、今後も負傷者は出てくるであろうが、こういう時こそ結束力を高めて上昇気流に乗りたいところだ。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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