「沖縄の負の側面をエンタメに」 映画『ミラクルシティコザ』監督インタビュー

 
撮影中の平一紘監督(中央、写真は監督提供)

 沖縄市コザでハードロックが鳴り響いていた1970年代をテーマにした映画『ミラクルシティコザ』が県内各地の映画館で公開されている。元ミュージシャンの祖父に体を乗っ取られた主人公の青年の魂が、時空を超えて祖父が活躍していた70年代のコザに遡る「タイムスリップ・ロックンロール・エンターテイメント」だ。

 沖縄では全国に先駆けて1月21日に封切られ、今月4日からは全国でも上映がスタートした。自身も沖縄市出身の監督・平一紘さんに公開後の反応や作品に込めた思いを聞いた。


 ―先月(1月21日)沖縄で公開され、全国公開も始まりました。映画を見た人たちからの反応はどうですか?

沖縄での反応に関しては想像以上でした。主演の桐谷健太さんを巻き込んで県内色んなメディアに出させてもらったことで、桐谷さんを温かく迎えてもらったのが大きかったです。県外の俳優さんだけれど、“県産品”の映画にハマった形になって、ほっとしました。

 東京に関しても、どんな風に伝わるのかなというのは心配だったんですけど杞憂に終わって、主題歌を手掛けてもらっているORANGE RANGEのファンや県人会などもつながることでこの作品を受け入れてくれたように感じています。

 映画についての意見には基本的に全て目を通すようにしています。当然、賛否の“否”の意見にも。その中で見かけたのは『自分が思っていたオキナワンロックとは違う』という声が多かったように思います。
 こうした意見を目にした時、沖縄のロックのことをこれだけ思っている人たちがいるんだなということも痛感して、それも含めて良い反応だと感じています」

 ―映画の冒頭で「昔は良かった、と年寄りたちは言うだろう」というモノローグが入りますが、この感覚は監督個人の感情も込められてるのでしょうか。

「そうですね。『そんなこと言われても知らねえよ』って(笑)。でもこの感覚ってどこの地域にも、どこの家族にもあるものだと思うんですよ。それこそ、コザみたいな街は全国にたくさんあるんじゃないかと。

 ただ、そんな中でも“異国が支配していた場所”としてのコザでしか描けないことがある。それならば『昔は良かった』という人たちの、その『昔』を見にいこうじゃないかというのが、今作のテーマの根底にありますね。

 1989年生まれで70年代を知らない自分にとっては、その当時を描くためには劇中でタイムスリップという手法を使うしかなかった。だから、見たことないものに直面する感覚は(劇中で過去に遡る)主人公の翔太と同じです」

 ―劇中で使われている70年代のハードロックは日常的に聴いたりしていましたか?

「それが、全然聴いてませんでした(笑)。正直言ってそもそも音楽に対しては無知で、そんな自分がやっていいのかなという葛藤もありました。もちろん勉強もしましたけど。

 ただ、スタッフの中に現役も含めたプレイヤーがそれなりの人数いたので、僕は演出とストーリーに注力して、音楽的な部分は彼らを信じてある種“丸投げ”したんです。出来上がりを見たら、その判断は大成功だったと言えます。

 この映画で過去と未来をつなげているのが音楽です。だから一言で言えば『沖縄の音楽映画』だとは思ってます。音楽映画でありながらコメディも恋愛もSFも、たくさんの要素を詰め込みました。詰め込み過ぎたかもしれませんが(笑)」

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