琉球王朝の宮廷音楽「御座楽」がよみがえる 27日に演奏会

 

 那覇文化芸術劇場なはーとこけら落としシリーズ 御座楽演奏会『よみがえる御城(うぐしく)の調べ』が2月27日に開催される。「幻の宮廷音楽」とも呼ばれる御座楽とはいったい何か。復元の経緯や公演の取り組みなどについて、御座楽復元演奏研究会に話を聞いた。

御座楽(うざがく)とは何か

 琉球王国の室内楽である「御座楽」の起源は14世紀後半といわれている。

 琉球王府では、中国(明/清)から冊封使が来琉した際や、徳川幕府に謝恩使や慶賀使を送る「江戸上り」のとき、琉球の役人が中国系の音楽を演奏した。これが御座楽である。器楽曲のほか唱曲(歌有りの曲)もあり、約200年の間に70曲ほど演奏されたという。

 しかし、琉球王国の滅亡とともに伝承が絶え、楽器も消失し、いまや幻の音楽となってしまった。御座楽の上演記録は、1887年に伊藤博文の前で演奏されたのが最後と言われている。

復元への道のり

 「琉球の宮廷音楽を復活させよう」と沖縄県が御座楽の復元事業を始めたのが平成5年のことである。一口に復元といっても容易ではなかった。まず楽器から調達しなくてはならない。王府内で使用していた楽器は沖縄戦によって全て焼失し、県内には1つも残存していない。さいわい江戸上りの際に徳川家へ献上された楽器が、徳川美術館や水戸博物館に保管され戦火を逃れていたため、参考にすることができた。

 楽曲においても難題は尽きない。演奏方法は実演伝承が途絶えている。王府の記録から曲名や歌詞などを抽出し、中国に現存する同じ曲などを探し出して、使用楽器の記録などと照らし合わせていき、楽曲を復元していった。演奏自体も現地で研修を受け演奏者を養成することで、復元演奏へとこぎつけて行った。

 衣裳や髪飾り等も古文書などから復元作製した。あらゆる方面の研究者が知識と知恵を結集させねば成し得ない、全てが試行錯誤の道のりであった。

 県の事業としては平成17年に終了しているが、その研究は平成9年に発足した御座楽復元演奏研究会に引き継がれている。同会は結成以降も研究を続けながら、県内外・海外での演奏活動により文化交流の促進に努めている。

稽古場には珍しい楽器がズラリ

御座楽演奏稽古の様子

 稽古場へお邪魔すると、見た目にも華やかな楽器がずらりと並べられ、演奏が始まっていた。二胡に似た四絃の四胡(しこ)、チャルメラの別名で親しまれる哨吶(ツオナ/ソーナともいう)などは中国楽器として何となく目にした事があるが、木琴のような形をしていながら絃が張られている楽器(楊琴・ヤンチン)や、小さな箏のような形なのに爪で弾くのではなくバイオリンのように肩に乗せて弓で弾いて演奏する楽器(提筝・ていそう)など、他ではちょっと見かけない楽器もあり、その珍しい音色を聴くだけでも価値がありそうだ。

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