県内の30~40代は沖縄県知事選をどう見た? 振り返り匿名座談会
- 2022/9/15
- 政治
現職の玉城デニー氏の再選で幕を下ろした沖縄県知事選。各種選挙が目白押しの2022年の総本山として位置づけられた知事選は、投票率が前回から低下したことや、候補者が代わり映えしないこともあって、盛り上がりに欠けた印象もぬぐえなかった。そんな今回の知事選について、普段から沖縄県政の動向をウォッチしている30~40代の人たちに集まってもらい、匿名座談会を実施した。選挙戦の雰囲気や候補者と政策、「オール沖縄」、そして2期目の玉城県政への要望や課題について率直な意見を交わしてもらった。
■参加者■
・A:女性・自営業(30代)
・B:女性・大学非常勤講師(30代)
・C:男性・学校非常勤職員(30代)
・D:男性・学習塾経営(40代)
良くも悪くも驚きが無い結果
―先ずは今回の県知事選について、思ったこと感じたことをそれぞれお願いします。
A:知事選始まった当初から「デニーさんだろう」という話をあちこちから聞いていましたし、結果についてもそうだろうなという感じでした。デニーさん側は地方議員、県議補選の上原快佐さんなど他の選挙の候補者がセット戦術で「オール沖縄」側ですとアピールしつつ、野党党首の応援もかなりあった印象です。一方の佐喜眞さんはそれがなかったんですよね。私は自民党関係の支援者をSNSで見ていても、佐喜眞さんはほかの候補者とセットではあまり見ていないように思います。
C:結果だけ見ると良くも悪くも驚きは無い、というのが正直な感想でした。候補者同士の討論会を見てても、3人が互いの政策を深堀りする議論は全然なくて、足を引っ張り合いに終始していたように思います。選挙はそんなものなのかもしれませんが…。
B:佐喜眞さん陣営の打ち上げ式に中央からあまり人が来てなかったと聞いて、ちょっとショックでした。自民党って“義理人情”で売ってきた政党じゃなかったのって。世代が上の方の話を聞くと、やっぱり自民党を推してる人たちからは、道作ってくれたとか、しっかり話聞いてくれたとか、そういう話題が出てきますから。ただ、中央の人たちがいないからこそ逆に、参院選に出ていた古謝玄太さんみたいな若い人たちが入るスペースがあって、それは前回と違う雰囲気で面白かったと思います。
D:色々とニュースを見ていると両陣営とも相手陣営を貶めるような発言を乱発していて、SNSの影響が無視できない状況になっていると感じました。今までは「良い結果にならないよね」という暗黙の了解みたいなものがあったように思いますが、その感覚がズレてきているんじゃないかと。今のところ、選挙に携わる人たちのほとんどがSNSに限らずネット全般での発信の仕方が上手いとは言えないと思います。
それに知事選も県議選もですが、選択肢がない選挙が最近続きすぎてちょっとげんなりしていますね。正直言って、デニーさんだけを応援したいとは思ってるわけではないんです。他にも良い候補者に出てきてもらいたいのですが、残念ながらいないと言わざるを得ないのが現状です。
魅力ある政策討論を見たい
―候補者と政策そのものや伝え方についてはどう思いましたか?
C:政策を見比べた時、自分に1番合ってるデニーさんに入れよう、という感じですんなり投票しました。佐喜眞さんと下地さんの政策には「これは確かに良いとこ突いてる」と思わせてくれる提案がもっと欲しかったです。
A:下地さんは結構攻めてきたなって感じましたね。沖縄振興計画に対してNOを突きつけていた部分もありましたし、これをきっかけに議論になったら面白いなとは思ったんですけど。
D:前回知事選の時、県内のいくつかの高校で生徒たちの擬似投票をやって、各候補者たちが言ってることを調べて、公開討論会とか聞いて、投票させると結構下地さんが勝ったという話を聞きました。高校生たちの若い感覚だと、中道っぽい傾向の人が好きみたいなんです。今までの規定の対立構図ではない軸を持った人、ということに新しさを感じて選んだ可能性はありますね。その意味では、今回下地さんに投票した若手は自分の頭で考えて選択したのかもしれません。
C:最近の選挙を見てると、フィクションでもいいから子どもたちに「沖縄の未来を託せそうだ」と思える人物同士の、ちゃんとした議論を見せてから選挙に行ってもらいたいなという気持ちになりますね。魅力ある討論を見せてあげたい。今のままだとちょっとかわいそうだと思っています。
D:ずっと言い古されてることですけど、政策の話で基地問題に大部分のリソースを取られてしまうのが難しいところです。本当は知事選はチーム戦のように臨んでほしいと思ってるんですよ。基地や経済などの分野別のブレーンを公開しながら「我々のチームに投票してください」というアピールの仕方でもいいと思うんですよね。
C:沖縄県の多すぎる課題を分散して政策を考えていくというのはすごく良いですね。追加すると、その政策を検討する人たちの中に若い人をどれだけ多く登用できるかが本当に大事だと思います。こうした施策で、先ず政策を議論するための体制を作らなければならないと思います。