【沖縄県知事選】ポイントは「旧統一協会」「既視感」「辺野古」 玉城氏圧勝と過去2番目に低い投票率のワケ

 
支持者から再選祝いの花束をもらい笑顔を見せる玉城デニー氏(左)と妻・智恵子さん=9月11日夜、那覇市の教育福祉会館

 2022年“選挙イヤー”の沖縄で最大の政治決戦となる9月11日の県知事選は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力から支援を受ける現職の玉城デニー氏(62)が339,767票を獲得し、政権与党の自公が推す佐喜眞淳氏(58)らを退けた。玉城氏と佐喜眞氏は64,923票という大差となった一方で、投票率は過去2番目に低い57.92%に落ち込んだ。現職圧勝と自公大敗、そして有権者離れの背景には何があるのか。「旧統一協会」「既視感」「辺野古」の3つを柱に読み解いていく。

 沖縄県知事選の結果は以下の通り。(選管最終)

玉城デニー氏(62) 無·現 339,767

佐喜眞淳氏(58)  無·新 274,844

下地幹郎氏(61)  無·新 53,677

佐喜真氏に吹いた逆風 4年前の大敗払拭できず

 「前回と同じ候補者では厳しい」

 経済界などの佐喜真陣営関係者からは、告示前からそんな悲観的な声が多く漏れていた。玉城氏と佐喜眞氏の事実上の一騎打ちという構図は4年前と変わらず、しかもその時は約8万票という大差を付けられていたため、勝てるイメージが湧かなかったのも無理はない。

 さらに今回は、元郵政民営化担当相で自民や維新などを渡り歩いた下地幹郎氏(61)も出馬したため「保守分裂」の様相に。加えて、7月に銃撃により命を落とした故安倍晋三元首相の事件でクローズアップされた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、佐喜眞氏が関係団体のイベントに参加していたことが明らかになり、重い足枷を背負っての選挙戦となった。

出陣式でガンバロー三唱する佐喜眞淳氏(前列左)や小渕優子(同右)ら=8月25日午前、那覇市の県民広場

 迎えた8月25日の告示日。佐喜眞氏は県庁前の県民広場で行った出陣式で自ら旧統一教会の話題に触れ、「関係団体の行事に参加しましたが、資金の提供を受けたということは一切ございません。一切の関係を今後行わない、関係を断つことを約束します」と釈明したが、拍手はまばら。応援弁士として駆け付け、隣りにいた自民党沖縄振興調査会の小渕優子会長や、街宣車の前に並んだ自民県連関係者らは一様に険しい表情を浮かべていた。

 投開票日の2日後、「ほとんど地方の選挙ばかりやっていた」と振り返ったのは、公明党の支援者だ。創価学会を支持母体に持つ公明党にとっても、収束が見えない旧統一教会問題は同じく逆風となっている。旧統一教会との関わりが表面化した佐喜眞氏の支援に及び腰となり、選挙運動は停滞した。

 佐喜眞氏の置かれた厳しい状況は、同日に市長選が行われた宜野湾市の結果に如実に表れている。

 前市長としての地盤を武器に26,221票を獲得し、5,000票以上の差で玉城氏を制したが、自身の後継として市長選で再選を果たした松川正則氏(68)の得票数は29,664票。第3極の下地氏が出馬していたとはいえ、同じ支持層を持つ松川氏との3,000票以上の差は、旧統一教会問題の影響で支持を固めきれなかったことがうかがえる。

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