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沖縄県教委が示す10年先の教育とは?新時代見据え基本計画策定
- 2022/7/19
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肥満傾向の児童生徒も改善へ
学力だけでなく、体力向上の取り組みも課題の一つだ。スポーツ庁の通称「新体力テスト」では、沖縄県は小中高ともに毎年「体力合計点」が全国平均を下回っている。しかしながら、中学男子においては2021年度の結果が全国平均を上回るなど、小中学生については改善が進んでいる。
全国平均を50とした偏差値で、2021年度は小学校49.2、中学校49.8、高校49.6だったが、10年後の2031年度には小中高とも50.0を目指す。
また、体力向上と併せて食育や健康教育の取り組みも強化する。肥満傾向の児童生徒の割合を指標に、小学5年生では2020年度の13.6%から、2026年度は12.6%、2031年度は11.6%へ、中学2年生では2020年度の12.4%から、2026年度は11.4%、2031年度は10.2%へと引き下げていく。
理系大学進学率21.0%⇒26.0%
グローバル人材育成に関連して、沖縄科学技術大学院大学やJICA沖縄との連携を深めるなどして、国際理解教育の充実を図るとしている。中でも、海外との交流活動を行っている高校の累計数を、2020年度の17校から2026年度の85校、2031年度の170校へと、10年間で10倍に増加させる計画だ。
また、科学・理数教育の充実も掲げており、理系大学への進学率を2020年度の21.0%から2026年度で23.0%、2031年度で26.0%と着実に増加させる。
離島高校ではパソコン1人1台
地域間での平等な教育機会の確保を目指して、小規模な公立学校に設置されている複式学級(2つ以上の学年で構成する学級)への非常勤講師の派遣も進める。2021年度の派遣割合は69.0%だったが、2026年度には83.0%、2031年度には91.0%と大幅な改善目標を掲げている。
平等な教育機会確保に関する施策では、非常勤講師派遣の他にも、高校がない離島から進学する際の居住・通学の経費支援などを通して、家庭の経済的・精神的な負担軽減に取り組む。さらに、離島高校生のICT活用に関連して、パソコンの割り当ても進める。パソコン1台当たりの生徒数が2020年度では1.7人だったものの、2026年度までには1.0人と「1人1台」の実現を目指す。
生涯学習講座数の激増目指す
「学び」は子どもたちだけのものではない。学びや生きがいを支える多様な生涯学習環境をつくろうと、生涯学習推進組織を活性化し、学習情報の提供などに取り組んでいく。指標としては「県・市町村における生涯学習講座の受講者数」を用い、2020年度の4万7129人から2026年度には17万2000人と一気に激増させ、2031年度には18万2000人へと引き上げる。
また、沖縄文化の保存・継承・創造・発展の観点からも、民俗文化財の保存や無形文化財の記録などさまざまな事業に取り組む。その一環として、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」関係の調査や整備、復元などの事業にも力を入れる。これらの成果の目安として、史跡などへの訪問者数の増加を目指し、2020年度の128万1177人から、2026年度は286万2800人、2031年度は339万7300人を、約10年間で3倍弱に伸ばす。
同計画では他にも、子どもの貧困問題や教員の多忙化など、さまざまな分野・指標で目標値を設定している。計画の詳細は沖縄県教育委員会のウェブサイトで確認できる。