沖縄県教委が示す10年先の教育とは?新時代見据え基本計画策定

 
沖縄県庁

 沖縄県教育委員会はこのほど、2022年度から2031年度における「沖縄県教育振興基本計画」を策定した。学校教育の在り方や子どもたちの健全育成、沖縄文化の保存・継承・創造などについて今後10年間の基本的な計画を示したもので、AIやIoTなどのデジタル技術の革新がもたらす新しい社会の在り方「Society5.0」に対応できる教育推進が盛り込まれた。具体的な数値目標も個別に設定し、例えば小中学生の学力については2031年度までに共に全国平均を上回ることを目指す。

「Society5.0」を見据え

 同計画は6月9日の県教育委員会会議に議案として提出され、同日に議決・策定された。この計画が有効となるのは10年間だが、社会状況の変化に対応するため、5年後をめどに見直しの必要性を検討する。

 県教委は「これからの社会を見通すと、(中略)Society5.0とも呼ばれる新たな時代の到来により、社会の在り方そのものが大きく変わっていくとの予測もあります」としつつ、子どもたちに「変化への対応力や主体的に社会に関わる積極性、新たな価値を生み出す創造力などを育むこと」の必要性を目的に据えた。

10年後には「高学力県」に

 学力向上の推進について、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の全国平均正答率を用い、2021年度とのポイント差を指標にして目標値を設定した。

 小学校では2021年度が-0.5ポイントだったが、5年後の2026年度には+0.5ポイント、10年後の2031年度には+1.0ポイントを目指す。
 中学校では2021年度の-4.9ポイントに対し、2026年度には0.0ポイントと全国との学力差を無くした上で、2031年度には小学校と同様に+1.0ポイントを目指し、全国的に高学力とも言える県を目指す。

 沖縄県の学力は、2007年度に開始した学力テストで小中学校共に最下位が続いていたが、2014年度に小学校が最下位を脱出してからは、全国でも中~上位で推移している。一方で中学生については学力面の課題が残り、近年では改善が進んでいるものの、順位で言うと依然として最下位のままだ。

大学等進学率40.8%⇒45.0%目指す

 高校における学力向上については、大学等進学率を指標に目標を設定した。2021年度は40.8%だった進学率を2026年度には42.0%、2031年度には45.0%に引き上げる。

 「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」「ICTの活用などによる個別最適な学びの推進」などで学力の定着を図る他、高校生が大学などの講義を受けるなどの“高大連携”を推進する。また、経済的な理由で進学が難しい生徒を支援する施策にも力を入れることで、進学率の向上に取り組む。

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