OIST、チンアナゴの摂食方法を解明 幅広い流速への優れた対応力

 
海底の砂から顔を出すチンアナゴ(OIST提供)

 海底からひょこっと顔を出し、ゆらゆらと揺れ動くチンアナゴ。水族館などで、その可愛らしい姿に目を奪われたことがある人も多いだろう。知名度が高い一方で、これまでチンアナゴの生態に関する情報は乏しかったが、沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)が7月20日、様々な流速下で実験を行い、巣穴にとどまったままで行うユニークな摂食方法を解明したことを発表した。

 学内の海洋研究グループは、世界で初めて実験室内でチンアナゴの摂食行動を調べる研究を実施。研究論文は科学誌「Journal of Experimental Biology」に掲載された。

流速によって捕食位置を変更

 回流水槽の底に砂を敷き詰めてチンアナゴの生きる環境を再現し、水槽の側面に2台、上部に1台のカメラを設置して実験を行った。毎秒0.1、0.15、0.2、0.25メートルの4段階の流速下で餌の動物プランクトンを放流し、チンアナゴの捕食する際の動きを撮影した。

胴体の一部を巣穴に固定し、流れに逆らうように頭部を動かして動物プランクトンを捕食するチンアナゴ(OIST提供)

 撮った映像を基にチンアナゴの目と、体の最上部の黒い斑点を認識して追跡できるようにプログラムに学習させ、動きや姿勢を3次元空間で再現した。その結果、水流が速くなればなる程、チンアナゴが巣穴のより奥深くに身を隠し、巣穴近くを通るプランクトンに対象を絞って捕食していることが分かった。捕食範囲は狭まるものの、流速に比例して一定時間に流れるプランクトンの量が増えるため、そのデメリットをカバーできるという。

 この生態について、論文の筆頭著者である海洋生態物理学ユニットの博士課程学生である石川昂汰さんは「流れが速いほど、その力に抗うために大きなエネルギーが必要となるため、このような適応方法は非常に重要です」と解説する。

体かがめエネルギーの消費抑制も

研究の様子を納めた動画(OIST提供)

 また、チンアナゴは水流が遅い時は真っ直ぐな姿勢を取る一方で、速くなるにつれて体をかがめていく様子も確認された。研究チームの計算では、流れにさらされる面積を小さくすることで受ける抵抗が真っ直ぐな時に比べて約57%も減少し、エネルギー消費を抑えているという。

 流速が毎秒0.25メートルより速くなると、チンアナゴは完全に巣穴の中に身を潜めて摂食行動をストップし、毎秒0.2メートル弱が摂食率の最大の流速であることも分かった。自由に泳ぐことのできるサンゴ礁魚類のプランクトン摂食率は毎秒0.15メートル程度の流速が最大だといい、巣穴を生活拠点としていることが流速に対する高い適応力を生んでいることが明らかとなった。

 石川さんは「巣穴に身を潜めて餌の捕食距離を短くするというチンアナゴ独特の戦略は、流れが速い時に非常に有効的であることがうかがえます」とコメントしている。

OISTのリリースは以下。

https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/37457

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