県産ヤギ肉のペットフード発売!犬の食品アレルギー問題に一助

 

 高タンパクのヘルシー食材で、イヌの食品アレルギーを解消しようと、沖縄県産のヤギ肉を使用したペット用のジャーキーが今月、ペットボックス各店にて発売された。製造しているのは飲食・畜産事業を営む、やぎとそば太陽(うるま市、仲西洋陽代表)。ペットフードの地産地消の意義や、業界のトレンドについて聞いた。

ペットボックス北谷店の西本政高店長(左)とやぎとそば太陽の仲西洋陽代表

アレルギーに配慮したペット業界のトレンド

 ペット業界の近年のトレンドは、「グレインフリー」と呼ばれる穀物不使用の商品だという。イヌにも人間と同じように穀物アレルギーが存在するからだ。

 20年ほど前までは穀物主体のペットフードが主流だったが、穀物アレルギーのペットに対応しようと、近年ではとうもろこしや小麦などを使わずに肉主体で作られたペットフードが数多く棚に並ぶようになった。しかし、肉主体のペットフードが市場の中心になっても「イヌのアレルギー問題」は解決しなかった。

「牛や鶏を使ったペットフードにもアレルギー反応を起こす個体が出て来ました。それを回避するために、新しいタンパク源となる原料を確保することは業界の課題でもあったんです。そういう背景もあり、県産のヤギ肉を使用した商品開発に注目しました」(西本店長)

 また、「グレインフリー」の他にも業界のトレンドワードがあるという。「ヒューマングレード(人間品質)」だ。

「端切れの肉や臓物を加工したものではなく、ペットも家族の一員として、人間が普段口にするものを使用しようという考え方です」と西本店長。ヤギ肉文化が根付く沖縄でヤギは“人間の食べ物”としても馴染み深く、人気だ。「(現状のペットフードを作るには)どうしても原料を輸入に頼らざるを得ない中、純県産ヤギ肉100%で生産者の顔が分かるペットフードというのは画期的だと思います」

サーモンや鹿肉などさまざまなタンパク質系原料でできたペットフード。アレルギー対策で買い手の選択肢も広がっている。

ヤギの生産から商品加工までをワンストップで

 製造者である「やぎとそば太陽」はうるま市内でヤギ農家を営み、ヤギ料理店の直営も行っている。2019年にはヤギ汁をカップ商品化するなどした加工のノウハウをペット業界にも活かした。

「この『ヒージャーキー』は100%ヤギの赤身肉を乾燥させて作ったものです。ヤギは肉の歩留まりが良くないのでコストが掛かる。生体の場合は現在、約1200円/kgでの取引ですが、骨・内臓を取り除いた肉の部位だけの換算では、約7000円/kgと和牛よりも原価は高くなります。しかし、無添加無着色で高タンパク・低カロリーとペットにとっても健康食材として魅力的だと思います」

製造を行った、やぎとそば太陽の仲西代表

実際に食べてみた

 筆者も「ペット用 ヒージャーキー」を頂いてみた。

 ヤギ肉といえば、好き嫌いの別れる独特の香りがあるイメージだが、ドライ製法のためか全くヤギの風味がしない。オールドなヤギファンからすると認めたくないだろうほど臭みは無い。

「私がやっていることは変わりません。ヤギ肉の良さを知ってもらいたいから、畜産から加工、飲食店までを一貫して行ってきました。人間もペットも同じアプローチでやっています」(仲西代表)

 販売はペットボックス各店(那覇店・北谷店)で、980円/15g・2980円/50g。

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