閑散期に強い県民限定サイト「ちゅらとく」も、緊急事態宣言後は予約減少

 
ちゅらとくサイト

 新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言によって県外からの観光客の減少が観光業に深刻な影響を及ぼしていることは、すでによく知られているところだが、じつは県独自の緊急事態宣言によって県内での移動やホテルなどの利用も大幅に減少してしまったことが、県民向けホテルやレストランなどの予約サイトから見えてきた。

 株式会社パムローカルメディアが運営する、沖縄県民のおでかけを応援するサイト「ちゅらとく」は、会員登録制のサービスで登録条件は「沖縄県に在住であること」のみ。現在(2020年5月時点)の会員数は23万人を超えている。登録は無料。会員にのみ価格が見える仕組みとなっている。

 会員になると、ホテル・ホテルレストラン・レジャー・ツアーを“県民限定価格”でお得に楽しむことができ、人気ホテル宿泊1泊2日2食付き5,000円台など、県民限定だからこそ実現できる価格設定が人気だ。

 このシステムにより、県民のホテルステイやランチ、レジャー体験をより手軽なものにし、同時に地域経済の活発化にも大きく貢献してきた。

 実はちゅらとくは、その仕組みの特性上、普段は観光客が少ない“閑散期”と呼ばれる時期にこそ、力を発揮する。普段から相場よりも安い金額ではあるが、観光客が少ないシーズンになると、『県民に安くプランを提供したいちゅらとく』と『少しでも客室を埋めたいホテル』の利害が一致し、より安い金額でプランを出してもらえるのだ。閑散期に安くなることを見越して、あえて安いタイミングを狙うヘビーユーザーも多く存在する。

 そんな“閑散期にこそ力を発揮するちゅらとく”だが、新型コロナウイルスの影響下において、一時は利用が増えたが、のちに減っててしまったという。その経過を、ちゅらとくを運営する株式会社パムローカルメディア取締役部長・前畑翔(まえはたしょう)氏に話を伺った。

域内メディア3月は好調!前年比最大“145%”アップの県も

前畑翔
写真提供:株式会社パムローカルメディア取締役部長・前畑翔氏

 現在、沖縄県の「ちゅらとく」と鹿児島県の「温泉パラダイス」を兼任で取り締まる前畑氏によると、3月は沖縄・鹿児島双方に例年より売り上げが高く、好調だったようだ。

 「極端な値下げはやらなかったものの、2月3月の売り上げは前年よりはるかに伸びました。沖縄の感染者が2月3月は少なかったので、“県外に出るのは怖い”という感覚だったのかなと思います。グループ会社がやっている旅行客向けメディアの方では、2~3月売り上げを落としていて、3月は前年の5割ほど下がっていましたね。いつも“こっちが悪いとあっちが悪い”という状態ではありますが、今回は特にふり幅が大きかったように思います。」

 -閑散期だけど極端な値下げをしなかったというのは、ホテル側も“密”を避けたということなのでしょうか?

 「そうですね。普段ならひとつでも客室を埋めようと積極的に安いプランを提供してくれるのですが、今回は観光客分を補填しようという動きは見られませんでした。詳しく聞いているわけではないですが、稼働調整はあっただろうなと思っています。」

 -前年比でいうと、どれくらい予約数が伸びたのでしょうか?

 「3月はちゅらとく前年比130%、鹿児島の温泉パラダイスは145%アップと、かなり大きく伸びました。」

 -今(2020年5月11日取材日時点)も予約数は伸びているのでしょうか?

 「実は沖縄も鹿児島も、緊急事態宣言後に急激に下がりました。3月末まで上がり続けたのちに4月3日ごろに少し緩やかになり、緊急事態宣言の7日に一気に来た感じですね。数字の感覚としては、7日に予約数が100件あったとして、翌日には40とかになってるイメージです。」

 -一気にきたんですね。

 「沖縄は県内感染者も増えてましたし、沖縄独自の緊急事態宣言も出ましたからね。7日を皮きりに徐々に予約数は減り、20日に出された独自の緊急事態宣言で更に悪化した感じですね。」

4月予約推移
提供:予約の推移(7日を100%としたもの)

-ホテル側から入ってくる声などはありますか?

 「休業しようと思っている、という声が多いですね。現場もその対応に追われている印象です。」

-逆にユーザーから入ってくる声はありますか?

 「声というか、ちゅらとくで初めてメルマガにクレームが入りました。内容には十分気を付けていたものの、結果的に配慮が足りなかったため、“こんな時にこんなものを流すな”というメッセージをいただきました。普段よくお礼のメールをいただくようなサイトなのでショックでしたね。10件くらいあったのですが、“ひとりの後ろには100人いる”と考えて、その後のメルマガは中止しました。」

 -それはショックですね・・。ではしばらくはユーザー向きの発信は特にやらない方針ですか?

 「そうですね。ユーザー向けには、緊急事態宣言が明けた後に大々的にセールなどをやっていければと思っています。今は固定費を下げることで、なんとか踏ん張っています。」

 -では今は、売り上げ増加に繋がる施策はあえてしないという方針でしょうか?

 「はい。実際売り上げはかなり落ちているので厳しい現状ではありますが、こればっかりはOTA(インターネット上で取引を行う旅行会社)の宿命なので仕方がないことだと受け止めています。むしろ今は、沖縄県に住む全ての人が安全に過ごすことが第一優先だと考えていますので、普段は“おでかけを応援するサイト”ちゅらとくも、ステイホームを積極的に応援しています。」

おうち時間応援企画記事
https://www.churatoku.net/info/0001932.aspx

 予約数が減少し、厳しい状況にありながらも、ちゅらとく会員には今は家で過ごして欲しいと、複雑な胸の内を語った前畑氏。

 ただ、新型コロナウイルスの影響で発案した、新しいビジネスモデルもあるようだ。それについては後日記事にてお伝えしたい。

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三好 優実

三好 優実

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香川県出身・沖縄移住歴6年目のフリーランス編集者・ライター。主に沖縄県内の観光・グルメ・経済について執筆。シリーズ本「香川県あるある」の著者。

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