ライバルから有志へ。「オキナワンヒーローズプロジェクト」始動
- 2020/5/14
- エンタメ・スポーツ
沖縄発の4大ヒーローが一堂に会した「オキナワンヒーローズプロジェクト」発足し、こどもの日である5月5日の記者会見で本格的に動き出した。
著作関係などの垣根を越えて、新型コロナウイルスの影響で外出自粛をしている子どもたちを応援するプロジェクトだ。
平和の魂を伝える「琉神マブヤー」、自然を愛する「エイカーズ」、闘牛が舞台の「闘牛戦士ワイドー」、土地を鎮める「安全第一大知マン」と、どれもストーリーを通じて沖縄のアイデンティティや伝統文化の大切さを教えてくれる。
個々でも人気の高い各ヒーローが、コンテンツを共有したのが「オキナワンヒーロープロジェクト」である。
https://okinawanheroes.com/
サイトでは、各ヒーローの過去放送のアーカイブ配信や、ヒーローズ塗り絵のダウンロード等があり、ステイホームの過ごし方に一役買っている。
とりわけ気軽に送信できる‘お手紙フォーム’は、子どもたちがファンレターを送ることができるとあって喜ばれそうだ。
それぞれのヒーローが生んだムーヴメント
最初に世に出たのが、琉神マブヤー(2008~)である。その人気ぶりは凄まじく、ショーは連日満員御礼。一般的なヒーローショーによくある当て振りではなく、テレビと同じ出演タレントが当意即妙にアドリブを入れるスタイルが受けた。
東京MXやサンテレビなどの独立U局でネットされ、さらには東京の渋谷公会堂の約2000人規模のライブもソールドアウト。全国ロードショーの映画が公開され、マレーシアとタイではシリーズの輸出版が放送されるなど、枚挙に暇がないほどの活躍ぶりだ。
エイカーズ(2011~)は、全部で4シリーズが放映され、劇場版も全国で公開。こちらもマブヤーと同じく独立U局や地方局でネットされるなど全国にファンが多い。
闘牛戦士ワイドー(2018~)は、大型ショッピングセンターでのヒーローショーにおいて、動員記録1位を打ち立てた。実際に行われている闘牛の試合にも、子どもたちが足を運ぶなど、伝統文化の活性化という意味でも肌ざわりのある成功を収めている。
今年お披露目されたばかりの新参ヒーローである安全第一大知マン(2020~)は、全国の特撮ヒーローよりも高い番組視聴率をマークし、今後の展開などへの期待も高い。
「今しかないタイミング」発起人・翁長大輔のキャリアが接続させた
これまでは放映テレビ局や権利の関係で、各ヒーローが共に並ぶのはタブーという実情があった。今回の始動は、まさに異例とも言える。
このプロジェクトを取りまとめた発起人が、株式会社ネクストヒーローズ沖縄の代表の翁長大輔氏である。‘琉神マブヤー’の一部シリーズと‘安全第一大知マン’では主演を務め、その他の作品でも、アクション監督・スーツアクター・番組プロデューサーと立場を変え、演者・裏方の両面からシーンを牽引してきた。今回、彼のヒーローを渡り歩いた横断的な繋がりが存分に活きた。
「4月の初旬に各所に声を掛けて、中旬にはもう全体でのオンライン会議が始まりました。
実現を促した要素は2点あります。1つが『どのヒーローもテレビ放映されていない時期』だということです。放送局やスポンサーの競合が無い今だから実現できました。
2つ目が『新型コロナウイルスからのピンチ』です。通常、ゴールデンウィークは年間で最も多くのショーを行うシーズンなのですが、今年はゼロになってしまいました。連日の何百人という子ども達の笑顔や声援は、ヒーローにとっても人間としても相当なエネルギーをもらえます。
恩返しを込めて、垣根を無くして子ども達の未来を明るくしたい。それぞれの陣営も想いは一緒でした」
WEBポータルサイトがリリースされたことで、それぞれのヒーローが伝える沖縄の素晴らしさを地元はもとより県外にも届けることができる。
既存のヒーロー市場を奪い合う存在から、ほぞを固めて立ち上がったオキナワンヒーローズ。プロジェクトが与えてくれる楽しみはもちろん、この団結に教えてもらうことは多い。