夢の聖火ランナーを奪われたリアルまもる君は、オリンピック延期をどう受け止めたのか

 
冒頭写真 沖縄ニュースネット
提供写真・リアルまもる君

 宮古島に「宮古島まもる君」という警察官に見立てられた人形がいくつか設置されているのはよく知られている。地元の交通安全協会が飲酒運転や交通違反をなくすために島内の交差点や事故多発地点などに設置したものだ。宮古島だけでなく伊良部島や下地島、さらには多良間島にまであり、その数は全部で19基。臨時で振り込め詐欺の啓発に駆り出されたり、特別に住民登録されたりと地元の名物になっているが、その宮古島まもる君を擬人化した姿で話題の「リアルまもる君」の存在はご存じだろうか。

 知る人ぞ知る「リアルまもる君」、実はただのコスプレ男ではない。2011年に「リアルまもる君」としてデビューしてからは、ツール・ド・宮古島100kmサイクリング参加を皮きりに、NAHAマラソンやとかしきマラソンなど、規模の大小関わらず数々のマラソン・トライアスロンに参加。宮古島及び沖縄県全体にスポーツを目的とした観光客誘致を図るべく、各大会を盛り上げる活動なども積極的に行っている。

 その活躍の幅はスポーツだけにとどまらず、テレビ出演やイベント司会、LINEスタンプ発売に加え、2018年4月には宮古島大使に就任する等、各方面で活躍し、ファンも多い。

 実はリアルまもる君、東京オリンピックの開催決定からずっと「聖火ランナーとして走る」ことを目標にしていた。そしてなんと2019年12月、見事聖火ランナーに選抜されたのだ。

 だが、突然の新型コロナウイルス感染拡大により、オリンピックは延期という結果に。巷では「延期ではなく中止」という噂もささやかれている。 そんな現状を見て、リアルまもる君は何を思うのか。聖火ランナー選抜の経緯も含め、オンラインで話を伺った。

オンライン中 沖縄ニュースネット
オンライン越しにもばっちりメイクのリアルまもる君。その姿はまだ、誰も見たことがない・・・?

 —早速ですが、聖火ランナーに選ばれた経緯を教えてください。

 「はい。まずリアルまもる君の活動をスタートしたきっかけとして、宮古島及び沖縄県内のスポーツツーリズムをもっと盛り上げたいという想いがありました。そのためにはまず、皆に認められるようなランナーにならないといけないなと思い、早い段階で聖火ランナーを目標にしてたんです。で、昨年『地域を元気にしている人』という枠で聖火ランナーに応募しました。宮古島、沖縄にかける想いをびっしり原稿に書いて応募しましたね(笑)。そしてトヨタさん枠で合格をいただいて。」

 —その時はどんな気持ちだったんですか?

 「とにかく、純粋に自分がやってきたことが認められたなぁと、心から嬉しかったです。こんな小さな島の白塗りのおじさんが、トヨタ自動車さんに選んでいただいたっていうのは本当に有難いことですよね(笑)。」

Facebook投稿 沖縄ニュースネット
聖火ランナー決定時のFacebook投稿

 —中止になるかもしれないと噂が流れた時は、どう思いましたか?

 「その頃は沖縄ではまだ感染者が少なかったし、3密を避けてどうにかやるんじゃないかなと思っていました。だから実際に延期になった時は、かなり驚きましたね。」

 —延期に対してはどう思いましたか?

 「まず中止にならなくて良かったなと。来年頑張ろうという気持ちでした。だけど、実は今回の聖火ランナーだけじゃなくて、新型コロナウイルスの感染拡大は僕にとって大きな打撃だったんです。」

 —別の何かにも影響を及ぼしたということですか?

 「実は4月に開催予定だった『全日本トライアスロン宮古島大会』の中止です。水泳3km泳いで自転車150km漕いで42.195km走るっていう超過酷なロングディスタンスレースなんですけど、僕はこのレースを完走し、その後に聖火ランナーで走ることを活動10年の区切りにしようとしていたので。マラソン中に突然ゴールを奪われたような感覚ですね。」

 —それはショックですね・・。その過酷さだと、かなりトレーニングされていたのでは?

 「正直、ここ2年間は、そのためだけに設定したきついトレーニングに耐えてきました。ロングディスタンスレースをこんな格好で走る人なんて、過去にいませんからね(笑)。並大抵のトレーニングでは絶対無理だと思って、ひたすらトレーニングの日々でした。」

 —確かにまもる君の格好で過酷なレースを乗り越えるのは凄まじいです。ショックすぎて燃え尽きたりはしなかったんですか?

 「2011年から培ってきた10年間の集大成を発揮するために、色々とあえて溜めていたところはあったので、正直言うと、一瞬燃え尽きましたね(笑)。準備は完璧に整っていたので。けど今は、来年に向けてトレーニング頑張ろうと思っています。休業期間中はランニングと自転車のトレーニングを今までの倍くらい頑張ってます!モチベーションは逆に高いかもしれません。」

ショック中のまもる君 沖縄ニュースネット
提供写真・ショックを受け入れながらも、自身のブログにて“身を「まもる」活動”を推進するリアルまもる君

 実は全日本トライアスロン宮古島大会への参加で、沖縄県内のマラソン・トライアスロンはすべてコンプリートする予定だったと話すリアルまもる君。2020年にシーズン1は完了、というところまで来ていただけあって、語られる以上に悔しい想いはあっただろう。

 けれど、来年に向けてまたトレーニングを積み重ねる前向きな姿に勇気をもらった。余談だが聖火ランナーにおいては、白塗りも警察官の服も、ヘルメットもNGとのことで、頭を白髪・ヘルメットカットにし、サングラスと口紅で走る予定だったらしい。

 勇気とユーモアを兼ね備えたリアルまもる君の今後の活動と、来年の全日本トライアスロン宮古島大会の完走・聖火ランナーとして走るリアルまもる君が、楽しみで仕方がない。

リアルまもる君の業務日誌
https://realmamorukun.com/

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三好 優実

三好 優実

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香川県出身・沖縄移住歴6年目のフリーランス編集者・ライター。主に沖縄県内の観光・グルメ・経済について執筆。シリーズ本「香川県あるある」の著者。

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