キムタツコラム⑦中日ドラゴンズと宮城大弥から考える組織論

 

 国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている作家の木村達哉さん。 「NPOおきなわ学びのネットワーク」 を立ち上げて沖縄の生徒の学びを支援しているなど、沖縄に縁深く活動している木村さんに、教育に限らずさまざまな角度からコラムを書いてもらいます。

専門家じゃなくても語らおう!

 皆さん、こんにちは。木村達哉です。どうぞよろしくお願いします。この原稿を書いているのが3月25日。そうです、プロ野球の開幕日です。沖縄の皆さんはなにしろ地元で春季キャンプが行われるわけですから、どの球団の練習もご覧になるんでしょ。羨ましいなぁ!と言いつつ、興南高校の練習を何時間でも見ていられるぐらい野球小僧な僕も毎年いろんな球団の春季キャンプを見学に行きます。この2年間はCOVID-19のせいで規制されていましたが、今年は球場に入ることができました。皆さんもさぞかし那覇や宜野湾、浦添や宜野座などに足を運ばれたことでしょう。

 この時期、プロ・アマ問わずほとんど全ての野球評論家たち(僕を含む)が優勝チームや順位を予想します。アマチュアだって予想を公表していいのですよ。至極残念な人は「専門家でもない人が勝手なことを言うべきじゃない!」なんてことを言いますが、そんなことを言い出したら教員以外は教育について語ってはいけないし、政治家以外は政治について語ってはいけないし、ミュージシャン以外は音楽について語ってはいけないし、医療関係者以外は健康について語ってはいけないことになります。まったくそんなことはありません。プロ経験がなくてもプロ野球チームのスカウトになった人だっていらっしゃるのです。プロ野球経験者の見る目が正しいわけではないことは、毎年の予想をほとんどの評論家が外すことからも明らかじゃないですか。昨年の東京ヤクルトとオリックスの優勝を当てたプロ野球経験者がどれぐらいいらっしゃるというのでしょう。僕なんて灘校で野球部監督を17年間務めていましたし、なにより昨年のオリックス優勝を当てたのですから、プロみたいなもんです、はい。

防御率最良の中日はなぜ5位に終わったのか

 さて、今シーズンの予想ですが、セ・リーグは中日か東京ヤクルト、パ・リーグはオリックスか楽天が優勝と見ています。その2チームが最終的には残るのではないかと思っています。戦力的な分析もしているのですが、それについては書きません。僕が見ているのは「聖域」の少なさです。野球を多少でもかじった人であれば、投手力のいいチームが強いのはご存じですよね。昨年、セ・リーグで一番防御率が良かったのは中日ドラゴンズです。が、順位は5位。なぜなのでしょう。中日の投手陣は、先発ピッチャーが余っているような状態で、本来なら先発にまわるべきピッチャーが中継ぎをしていたりするんです。投手力は抜群のレベル!なのにどうしてペナントレースの成績は悪かったのでしょうか。

 それは、いくら成績が悪くても使われる選手が多かったからだと考えています。「聖域」というのはそういう意味です。ファーストはビシエド、セカンドは阿部、サードは高橋、ショートは京田でしたが、4人とも大した成績ではないのに試合に出続けました。つまり、チーム内の競争がない状態でした。おそらく控えや二軍の選手たちは面白くなかったでしょうね。どうして自分を使わないんだ、どうしてろくに打てないあいつらばかり試合に出ているんだと思っていたことでしょう。試合に出ないと給料は上がらないのですから、忸怩たる思いで試合を見ていたはずです。

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