キングス、22-23シーズンの入場料収入“断トツ”トップ 7.7億円→10億円

 
キングスのホームコートである沖縄アリーナ

 プロバスケットボールBリーグの島田慎二チェアマンが22日午後、2022-23シーズンのクラブ決算概要についてメディア向け説明会を開いた。琉球ゴールデンキングスは入場料収入が10億1466万円(前シーズンは7億7956万円)に達し、B1、B2を合わせた38チームの中で断トツのトップとなった。その他の収入項目も含めた全体の営業収入は、23億7597万円(同19億7357万円)で3番目に多かった。

島田チェアマン「チケット収入が一番重要」

 リーグ全体の営業収入は昨対比38.6%増の415億3602万円(B1、B2含めた数字)となり、初めて400億円台を達成した。クラブ平均は10億9305万円。アルバルク東京(A東京)の26億9726万円が最多で、次が千葉ジェッツ(千葉J)の25億1000万円、次いでキングスが多かった。

 営業収入のうち、入場料収入は沖縄アリーナをホームコートとし、昨シーズン初優勝を飾ったキングスが最も多く、唯一10億円を突破した。2番目以降は千葉Jが5億8766万円、川崎ブレイブサンダースが5億2343万円、宇都宮ブレックスが4億8802万円となり、関東圏のチームが続いた。

 スポンサー収入も都市部のチームが上位を占め、A東京が22億4631万円、千葉Jが13億6997万円、群馬クレインサンダーズが11億2099万円となり、関東圏の3クラブが10億円を突破。キングスは6億8235万円で17番目だった。

 一方、支出を表す営業費用のうち、選手の年俸やコーチ陣らチームスタッフの給与などを含めたトップチーム人件費は、A東京が12億7315万円で唯一の10億円台。千葉Jが9億8767万円、島根スサノオマジックが8億7625万円、キングスが8億4870万円、三遠ネオフェニックスが8億1590万円と続いた。

 島田チェアマンはサッカーJ1の人気クラブを比較対象に出し、「琉球のチケット売り上げは浦和レッズや横浜F・マリノス(横浜FM)の少し下くらい。A東京や千葉Jも近い将来、J1のクラブに肩を並べると思います。総売上(営業収入)は親会社がどれだけ(お金を)出したかも関わるので、そこまで重要じゃない。チケットの収入が一番重要だと思っています」と述べ、キングスの経営面を高く評価した。

 今年でリーグ創設30周年を迎えるJリーグの2022年度決算において、入場料収入が10億円を突破したのは多い順に浦和、川崎フロンターレ、横浜FMのJ1の3チームのみだったことからも、キングスの数字がいかに大きいかが分かる。

リーグ全体で人件費「高騰」 懸念も

決算概要について説明するBリーグの島田慎二チェアマン(左)ら=22日(オンライン動画より)

 Bリーグは現在、2026年からスタートする新リーグ構想「B.革新」に向けて準備を進めている。現在のB1に相当するトップカテゴリーの「B.プレミア」に参入するためには、平均入場者数4,000人や売上高12億円など厳しい条件が設けられているため、各クラブとも新アリーナ建設やチーム力の強化に腐心している状況だ。

 Bプレミアは初年度14~18クラブでスタートする予定。2022-23シーズン決算について、12億円を突破したクラブは既に17クラブあり、今後もシーズンを重ねるごとに達成クラブは増加することが見込まれる。そのため、新リーグの開始前にはクラブを絞り込む作業を行う見通しだ。

 そんな中、島田チェアマンは現状のおけるある懸念も口にした。2022-23シーズンのトップチーム人件費が昨対比38.3%増の18億2100万円となり、4シーズン前の2019-20シーズンと比べるとほぼ2倍に達したことを念頭に置いた発言である。

 「短期間でここまで年俸が高騰するのは相当レアなケース。良いことでもあるけど、経営としては相当大変です。気になったのはスポンサー収入の伸び率(36.5%増)と人件費の伸び率がほぼ一緒なこと。クラブはBプレミアに辿り着くため、入場者数を増やしたい。そのためにいい選手の取り合いが起き、人件費が上がる。それを補うために営業努力をするけど、それが厳しいとオーナーがサポートする。選手の人件費が上がるのは喜ばしいけど、上昇幅が急激だと思っています」

 Bリーグでは外国籍選手のレベルも年々上がってきており、日本のバスケスタイルにフィットする選手は来日から2、3シーズン目に年俸が急騰することも多いという。

 島田氏は「一番気にしているのは事業を継続できるかどうかです。チームの勝った、負けたは完全にコントロールすることはできない。だからこそ、事業にフォーカスして採算性を向上させ、そして選手に人件費を払うのが本来のあるべき姿です。(日本の)人口減少が進む中でアリーナ建設を推奨している以上、健全性は譲れない部分です」と語り、各クラブが事業への投資を優先とすることができる環境づくりの重要性を強調した。

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長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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