フリースタイルバスケット日本王者が語るwithコロナ時代の沖縄エンタメ

 
JJさん 沖縄ニュースネット
提供写真:フリースタイルバスケットボールを披露するJJさん

 新型コロナウイルス感染拡大により今、世界中のエンターテイメント業界が不況に立たされている。

 世界中で活躍するパフォーマンス集団のシルク・ドゥ・ソレイユが3月に社員95%を一時解雇するという衝撃的なニュースや、著名人による「最悪の事態も想定しなければならない」という緊迫感漂うコメント、そして沖縄でも無観客公演の映像配信設備にかかる経費の支援など求める緊急要望書を県に提出するなど、飛び交うニュースを見るたびに、エンターテイメント業界に迫る危機を感じさせられる。

 沖縄だけでなく世界で活躍するJJさん(40)(本名・仲宗根潤治)も例外ではなかった。沖縄県内のパフォーマーを集めたプロダクション「琉球パフォーマーズコネクション」の代表を務め、フリースタイルバスケットボール日本王者という称号を収めつつも、昨年シルク・ドゥ・ソレイユのオーディションに合格を果たすなど、止まらぬ勢いで周囲を圧倒させてきたJJさんだが、飛ぶ鳥を落とす勢いの彼でさえ、現在は仕事が「全くもってゼロ」だと話す。

 そんなJJさんにコロナ禍におけるエンタメ界の状況と、沖縄エンタメ業界の未来について聞いた。

新型コロナウイルスの影響で仕事が100%減!自粛が及ぼすエンタメ業界の危機

-早速ですが、今回の自粛はJJさんの仕事にどんな影響がありましたか?

「僕の仕事は基本的に、企業や団体からイベントなどへの出演依頼があって出演し、報酬をいただくスタイルなんですけど、3月に入ってぱたっとなくなりましたね。よく『コロナの影響で売り上げ◯%ダウン』と聞きますが、僕の場合は3月は売り上げゼロだったので、売り上げは100%減ということになります」

-極端に減ったというよりも“なくなった”状態なんですね。どれくらいの損失になったのでしょうか。

「会社としての売り上げが3桁消滅して、毎月10〜20件あった問い合わせが、4月以降全くなくなりました」

-3桁が0というのは、あまりにも恐ろしいというか、受け入れがたい数字ですね。周りのパフォーマーも同じような状況ですか?

「そうですね。僕が代表を務める琉球パフォーマーズコネクションのメンバーも皆、全滅でした。ラスベガスの友達なんかはもっとひどくて、日本より感染者は出ているし街はロックダウンされているしで、ショーどころか家から一歩も出られないという状況が続いているみたいですね」

-緊急事態宣言が解除となった今も、状況は変わらずなのでしょうか。

「そうですね。まだ問い合わせもありません。イベントを主催する側も、今後どうなるか分からない今、動きづらいんじゃないでしょうか。秋頃にやるかどうか、といったところだと思いますよ。僕らに直近で可能性があるとしたら、結婚式とかですかね」

仕事がゼロとなり、落ち込む日々。「なんのためのエンターテイメントだ」

JJさん 沖縄ニュースネット
提供写真:コロナ禍以前のショッピングモールイベント出演した時のもの。この時はお客で賑わっている

 実は、沖縄でパフォーマーとして活動する以前は、公務員として勤務していたJJさん。公務員という職を捨て、相当な覚悟を持ってエンタメ業界に入っただけあって、コロナ禍で仕事を失ったことによる葛藤は大きかったようだ。

「お金云々というよりも、エンタメってこういう時こそ皆を笑顔にできたり人々の力になれるはずなのに、何もできなかったのがとてもショックでした。そんな自分に対して失望感が大きくて、しばらくは何もできないでいましたね」

-SNSを拝見していましたが、全然そんな風に見えなかったので意外です。動画配信もされてましたよね?

「そうですね。できることをやろうと思って動画はちょこちょこ配信していました。けど、やっぱり目の前でやる迫力は出ないというか。パフォーマーズコネクションのメンバーに動画とか、新しいことやってみないかと相談してみたりもしたんですが、やっぱり気持ちが落ちてるメンバーもいて、今すぐ動ける状態じゃありませんでした」

沖縄のエンタメはどうなっていくのか

JJさん 沖縄ニュースネット
提供写真:シルク・ドゥ・ソレイユ合格時の写真

 無力感などに苛まれながらも、「パフォーマーは絶対に一生続ける」ときっぱりと話すJJさん。今後、沖縄のエンタメ界で生き残っていくには、どのような覚悟が必要なのだろうか。

「今世界的にエンタメは止まっています。大手のところほど固定費が大きいので、事業を縮小せざるを得ないなど、しんどい時期は続くでしょう。沖縄エンタメに関しても同じです。今後はまず、大規模のイベントよりも小規模のイベントが中心になると思います。大規模イベントの場合、人を埋めないと収支が取れませんから。第二波の危険性もある中で、ソーシャルディスタンスを取れる程度に人を集めないことは、しばらくの間イベント開催において絶対条件になると思います」

-ショッピングセンター等で、人数を制限したイベントなどでしょうか?

「そうですね。人が集まらないことを前提に考えられたイベントじゃないと厳しいかなと思います。あとは公園など屋外でしっかりとソーシャルディスタンスが取れるイベントであれば可能性はあるかもしれません。僕たちとしても、お客さんには安全が確保された状況で楽しんで欲しいですし、心から楽しむにはやはり、安全であることは必要不可欠ですから」

-大規模イベントは、いつくらいまで難しいと感じていますか?

「おそらく年内は難しいんじゃないかなと思っています。これに関しては、第二波、第三波まで考えて慎重にならなければいけないところです」

-しばらく厳しい状況が続きそうですが、今後パフォーマーはどのように活動すれば良いと思いますか?

「今緊急事態宣言が解除となって、色々な人が外に出て人との繋がりの大切さを実感するタイミングなのだと思います。生で人と接したいという気持ちに気付ける時でもあります。そこでいかにパフォーマーとして『やっぱり画面越しじゃ寂しい』と思ってもらうことが大事じゃないかと僕は思います。そのためにはこれまでのやり方にこだわらず、動画だったりSNSだったり、できる限りのことをやってみるのが大事だと思っています」

-リアル以外を挑戦してみるべき、ということでしょうか?

「自粛中『うちフェス』というイベントに参加させていただいたんですが、そこで学んだことがたくさんあって。他にもzoomのアプリを使いこなした映像とのコラボなど“今しかできないパフォーマンス”って、もし今後必要ない時代が来たとしても技術は絶対に蓄積されると思うんです。だから今までのスキル+知恵で何ができるか、どこまでやれるかって常に模索するのが今、経験としても大事なのかなって」

-今JJさんがやろうとしていることはありますか?

「今は緊急事態宣言が解除になったばかりなので、これからは屋外でのイベント開催などをどうにか形にできないかなと模索しています。いかに生のパフォーマンスを見せるかは考え抜きたいですね。お金は投げ銭がいいのかとか、それぞれパフォーマーごとの課題をどうやってクリアするかとかですね」

 今まではパフォーマー1本でやっていくと考えていたが、今回のコロナ禍を機に考え直したとJJさんは話す。リアルの場だけではなく、SNSや動画などでも影響力を持つ、インフルエンサーになることも大切だと考えたそうだ。

 ネットでの存在価値も高めつつ、本来のパフォーマンス技術は常に磨き続ける、というように、スキルを発信する軸を増やしていくことが大切だと話した。今回のことは、自身の可能性を考える良いきっかけになったと、前向きに言った。

 JJさんは今もなお「ステージに立てないなりの活動」を模索している。

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三好 優実

三好 優実

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香川県出身・沖縄移住歴6年目のフリーランス編集者・ライター。主に沖縄県内の観光・グルメ・経済について執筆。シリーズ本「香川県あるある」の著者。

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