2020年度の観光客、7割減
- 2021/5/1
- 経済
県は30日、2020年度の入域観光客数は前年度から72.7%(688万5600人)減の258万3600人となり、減少数、減少率とも過去最大だったと発表した。観光が主要産業の沖縄を、新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した形となった。
20年度は、新型コロナの感染者が増加したことで4月、5月に国や県が緊急事態宣言を発出し、ゴールデンウイーク期間中も来県自粛が要請された。また、例年は観光客数が最も多い8月から9月上旬にかけても県の緊急事態宣言が出された。
その後、国による旅行刺激策「GoToトラベル」事業に東京が追加された10月からは持ち直しの動きも見られたものの、年末からの感染拡大で同事業が一斉停止になるなど、観光産業に猛烈な逆風が続いている。
新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限が取られたことで、沖縄への入域観光客はすべて国内客。クルーズ船の寄港増により18年度に過去最高の300万800人、19年度も249万400人が入域した外国客は、20年度は復帰後初めて入域がゼロになった。
好調を続けてきた沖縄観光は、18年度に入域観光客数が1000万4300人と初めて1000万人の大台を突破していた。しかし、20年度は新型コロナの影響で1988年度(241万1700人)の水準まで減少したことになる。観光客の減少により、20年度の観光消費額(試算値)は前年度比72.0%(5084億円)減の1963億円となった。
県庁で会見した宮城嗣吉文化観光スポーツ部長は、「沖縄観光は、これまで2001年の米国同時多発テロ、09年のリーマンショック、11年の東日本大震災など、いくつかの危機を経験してきたが、今回の新型コロナウイルスの影響は、深刻な状況になっている」と強調した。
また、現状について「沖縄県での『まん延防止等重点措置』期間、東京や大阪への『緊急事態宣言』がゴールデンウイークに及ぼす事態になっている。観光関連産業に携わっている関係者の皆さまは大変厳しい状況にあると認識している」と述べ、国の地方創生臨時交付金などを活用して事業者支援を行うと語った。
このほか、県内旅行を促す「おきなわ彩発見バスツアー促進事業」「おきなわ観光体験支援事業」は、まん延防止等重点措置が終了後には早期に実施できるよう、準備を進めているとした。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)