三線文化の振興で協議会発足へ 弾き手や作り手の育成も

 
沖縄県三線文化振興協議会設立準備委員会のメンバー

 沖縄を代表する楽器「三線」が根強い人気を誇る一方で、県内の愛好者や職人の減少などで、文化継承の危機を迎えている。その現状を打破しようと、県内の三線製作者や実演家、行政などが連携して沖縄の三線文化の普及や振興を目指す「沖縄県三線文化振興協議会設立準備委員会」が発足した。今年10月に「ワールド三線フェスティバル」を開催するほか、文化の担い手である子どもや若者の育成、三線市場の活性化、製作技術の保存など、三線文化の抱える課題解決に向けた取り組みの創出に向けて動いている。

三線継承の危機

 娯楽の多様化などが原因で、三線の県内愛好者が減少。三線教室や三線販売店、三線フェアなどの「三線市場」は県外に移りつつある。三線実演家の専業は難しく、三線の音楽公演では、客の少なさからチケット価格を低くするなど、伝統文化を安売りせざるを得ない現状が続いている。

 また、三線製作の市場においては、海外産の安価な三線が全体の7割以上を占め、県内の三線職人によって作られた三線は全体の3割にも満たないという。そのため、若手職人の育成ができず、製作技術の継承が課題だ。

 さらに、沖縄県内ではしまくとぅば(地域ごとの言葉)を話す人が減少。歌い手からは「歌三線を聞く人がこのままではいなくなってしまうのではないか」「先人から引き継いだ唄の意味を未来に残していけるのか」との危機感が広がっている。

三線製作の様子

「ワールド三線フェスティバル」の実現へ

 そんな思いから同準備委員会は、「三線文化が抱える課題に目を向けるきっかけを作りたい」と、10月30日から始まる「第7回世界のウチナーンチュ大会」に合わせて「ワールド三線フェスティバル」を開催する。

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